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その1。
「お昼も作ってもらってごめんね、何か運んだ方がいい?」
「あー、じゃあこれと、これ⋯」
お皿と箸を順番に渡す。
そして、その次にさりげなく指輪⋯だなんて、ムードのムの字も無いけどかなり驚くであろう雰囲気で渡そうとしてみた。
その時、狙ってたのかと言いたくなるくらいナイスタイミングで海人のスマホが鳴った。
「ごめん、先食べてて。」
海人が部屋を出たのと同時に、俺の口からは自然とため息が漏れていた。
「…はぁ…」
その2
「あ、海人?コーヒー持ってきたんだけど、飲む?」
「あ、ありがとう。」
コーヒーを置いたその隣に小さな箱を置こうとした。
置くだけ、そうただ置くだけのはずなのに何故か緊張しちゃって。
無意識に震えていた手がコーヒーカップに当たってしまった。
「うわっ!?あぶな…」
「ご、ごめん…大丈夫?」
「ん、俺は全然平気。」
運が良かったのか悪かったのか、コーヒーカップは倒れ掛けただけで済んだ。
でも、緊張とコーヒーカップが倒れ掛けた驚きで、この部屋へ来たばかりと時に比べてかなり心臓の音が煩くなっていて。
今はダメだ、そう思って諦めた。
そして、今に至る。
隣には、俺の肩にもたれて眠る海人。
かれこれ30分は経っている。
今、今しかない。
指輪をはめるのは今しかない。チャンスの神様は俺を見放さなかった。
すぅ、と小さく深呼吸をしてから、ポケットに入れてある箱を取り出した。
「…っ……」
っ、よし、いけた!
海人を起こさずに指輪をはめることに成功した。
長年の夢を叶えた。
よく頑張った自分!!
心の中でガッツポーズをしていると、騒がしさが伝わってしまったのか海人が目を覚ました。
「あ、ごめ…俺、凄い寝てた……」
「だっ、大丈夫。」
左手で目を擦った海人は、何か違和感を覚えたらしい。
大きく開いた目をぱちりとさせてから俺の顔を見た。
「なに、これ……」
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紫亜(プロフ) - kn_さん» コメントありがとうございます。ただいま私生活の方が落ち着いてきているのでゆっくりになりますがお話を作成中です。もうしばらくお待ちくださいませ。(*・ω・)*_ _)ペコリ (2021年10月22日 21時) (レス) id: c21d0ca7dc (このIDを非表示/違反報告)
kn_(プロフ) - 更新待ってます☺️ (2021年10月22日 18時) (レス) id: 26288553d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫亜 | 作成日時:2021年8月26日 15時