Story 5 ページ5
涼「虫嫌いなんじゃん」
「あ…ご、ごめんなさい…ちょっと、涼介くんが何してるのか気になっちゃって…」
涼「俺は勉強」
「勉強……?」
え、涼介くん真面目…。
涼「勉強が遅れてるから、空き時間に静かな場所で勉強することにしたの」
「そうなんだ……えらい…」
涼「別にえらいことじゃないよ…俺が勝手にやってるだけ」
相変わらず無愛想だなぁ…。
「あの…隣、いい?」
涼「他の場所も空いてるでしょ」
「そ、そうなんだけど……」
辺りを見渡してみると、確かに他も座る場所はある。
涼「…邪魔しないなら、いいけど」
「うん…邪魔はしないよ」
涼「じゃあ、その虫図鑑でも読んでな」
「え…これ…?」
涼「早く座んなよ」
「あ…うん……」
何故、偶然にもこの本を取ってきてしまったのか……。
隣で勉強する涼介くんの邪魔にならないように、
何となくページをめくっていると、
意外と見入ってしまっている自分がいた。
涼「……ちゃんと見るんだ」
「え…?」
涼「虫、嫌いなんじゃないの?」
「え、えっと……」
初めて涼介くんから話しかけてくれた……
その嬉しさで、上手く言葉を返せない。。
涼「セミ、めっちゃ見てるじゃん」
「あっ…セミって、思ったより結構しっかりした形してるんだなーって…」
涼「ふぅーん……」
本をちょっと覗き込む涼介くんとの距離が、
急に近付いて、また胸がドキッとした。
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作者名:エ イ ナ . | 作成日時:2019年10月1日 22時