Story 13 ページ13
帰り道の通学路を一人、
トボトボと歩いていると…
空から一滴二滴と雫が落ちてきた。
「…雨……」
あ…そういえば、今日は雨が降るから
傘持ってきたんだけど、学校に忘れてきちゃった。。
今から戻って取りに行くのも、
けっこう歩いてきたからなぁー……。
そんなこと考えてる内に、
小雨から土砂降りの雨に変わる。
「はぁー………」
最悪…私ってほんと、ついてない……。
家までまだ歩かなきゃいけないし……。
いつもより気持ちが落ち込んでいることもあって、
私は、その場にしゃがみこんでしまった。
数分、動けずにいると…
急に雨が自分に当たらなくなったことに気付いた。
後ろに人の気配がして振り向くと……
傘を持った涼介くんが立っていた。
涼「…こんなとこで何してんの?」
「え…涼介くん…?」
どうして涼介くんがここに…?
涼「傘は?」
「…学校に、忘れたの……」
涼「取りに行かないの?」
「……うん…」
しゃがみこんで俯いたまま動かない私に、
涼介くんが少し、ため息をつく。
涼「面倒な女……」
「…ごめんなさい……」
涼「とりあえず立って」
私は、言われた通りに立ち上がると、
涼介くんと目が合い、いつものドキドキではなく…
どこか切ない気持ちになった。
涼「びしょ濡れじゃん…風邪ひくよ?」
「そうだね……」
涼「傘これ1つしかないし、家まで送ってくから」
「え…そ、そんな、悪いよ」
涼「風邪ひきたいの?」
「い、いや…でも、傘忘れた私が悪いし…それに、涼介くんの帰りが遅くなっちゃうよ」
涼「俺のことは気にしなくていいから、早く行くよ」
涼介くんは私が濡れないように傘を私の方に傾けて、
歩幅を合わせて歩いてくれる。
私もうとっくに濡れてるのに…涼介くん優しいな。。
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作者名:エ イ ナ . | 作成日時:2019年10月1日 22時