僕が君の傘になるから ページ13
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デビューした年を締め括る年末の慌ただしさは例年にも増していた。
そんな中でも年始に控えた配信ライブのリハーサルは念入りに行われていて、個々の仕事も増えた今全員が揃うことも多くない。
事務所での仕事を終えて帰る頃、Aがまだひとりでリハしているとマネージャーに聞いて向かった先で
鏡と向き合い続けるAがいた。
何事もなかったかのように仕事復帰したものの、サポーターでがっちり固定された左手もメイクで隠される額の左側のあざも痛々しくて。
今だって、本当は、無理してるくせに。
そんな彼女に声をかけようと足を踏み出したそのとき、Aが顔を腕で覆って流れる音も目に見える世界も全てシャットアウトするように突然しゃがみこんだ。
気がつけば俺はそんなAを包み込むように抱きしめていた。
「っ、…きょも？」
「…泣いてるかと思った」
前触れもなく現れた俺に驚いたのか、俺の腕の中で勢いよく顔をあげたAの頬に涙の跡はなかった。
安心したと同時に、Aの表情から次に発せられる彼女の言葉も予想がついてしまった。
「…泣いてない、けど、」
「うん」
「…今、泣きそ」
「いいよ、ひとりで泣かないでくれるなら、いくらでも」
「……っ、」
唇をぐっと噛んで俺の胸に頭を預けるAを、壊れないように優しく抱きしめた。
「…ほんとは、こわい」
「、」
「…ひとりになりたくない」
「ん、」
「…でも、人前に立つのもこわい」
「…」
「…こわい、っもうやだ」
「A、」
あのAが弱音をこぼしてしまうくらい心は不安定で、こんなときどんな言葉をかけてあげればいいのかわからなかった。
「A」
「……っ、」
「A、俺の目見て」
「、ん」
腕をほどいてAの肩を支える。
素直に顔をあげて俺も見つめるAの瞳からは拭っても拭ってもとめどなく涙がこぼれる。
痛い。
Aの砕け散った心の破片が俺の胸にも突き刺さるようだった。
「A、俺のこと、信じられる？」
「…ん、」
「じゃあ、俺が今から言うことこれから先ずっと信じ続けてほしい」
「…」
「…大丈夫。Aには、俺らがいる」
「っ、」
「大丈夫」
いまだに内出血のひかない左手を包み込むように優しく撫でながら何度も繰り返した言葉。
Aと、そして自分自身に言い聞かせた。
それに応えるように小さく握り返された指先が愛おしくて仕方がなかった。
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すー(プロフ) - 最高です！！！更新されるのを楽しみに待ってます (2021年3月21日 20時) (
レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - 夢主と真剣佑の絡みを見てみたいです！これからも応援してむす^_^ (2021年2月10日 2時) (レス) id: 0c57139c5f (このIDを非表示/違反報告)
美紀(プロフ) - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2021年2月8日 14時) (レス) id: e19dcb272d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あーやん | 作成日時：2021年2月7日 20時
