黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ10)

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160# マジックミラーページ10

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『助けて』。そんな三文字だけのメールが届いた。時間は持て余していたし、と断る理由はないので送り主のもとへ向かった。

家にいるのか返せば『まだだけどもう着く』とすぐに折り返される。何か用事でもあったんだろうか。今日は学校をサボったから、二織に会わずに一日終わるなと思っていたのに。

「お前をAの機嫌取りに任命する」

「は？」

やけに深刻な顔だ、と親身になりかけた自分が馬鹿みたいだ。話が見えないので聞き返す。

簡潔に言うと、Aを怒らせたらしい。「それを言ったら癇に障るの分かってたけど、思ってたより空気がピリついたというか……」って。お前のせいじゃないか。

「……ったく、しょうがないな。貸しとくぞ」

「さすがイクト！持つべきものはダチだな！！」

肩を組むな。苦しい。

だが、既に聞く耳持たず。相手の力に引き寄せられるがままとなる。抵抗せずの状態でフゥと一息。

にしても二織がここまで日和るなんて。いったい、何を言ったんだか。Aが怒るなんて想像でき………いや、見たことあるな。一回だけ。二階堂が大量のバツたまを抜き取ったあの夜だ。

「ただいまー」

階下からAの声がした。どうやら帰ってきたようだ。二織の部屋を出て吹き抜けに頬杖をついて見下ろせば、靴を脱いでいるAがいる。

そこにはヨルも一緒だ。暇だ暇だと言ってどこへ行ったのかと思ったけれど彼女のところにいたらしい。

「A」

「あ、イクトさん。二織に私の機嫌取りでも頼まれた？」

「お見通しか」

「やっぱりそうなんだ」

分かるよ。二織が次にやりそうなことは。まるで呼吸をするかのようにあっさり見破るAに笑みが零れる。彼女はローファーを揃えてから一度置いた鞄を再び手にする。

でも、違和感を感じた。不機嫌そうと言われたらそうかもしれない。ツンとしてるように見えた。けれど、それだけじゃなくて。なんだか顔色が悪い。青白いっていうか……

「…な、なぁ。やっぱりAどっか悪いんじゃにゃいか」

「ヨルの言う通りデス。二織はワタシがAの分まで怒鳴っておくデスから貴様はもう休んで…」

「二人ともありがとう。でも、大丈夫だから」

どうやらしゅごキャラも、俺と同じように思うらしい。ここで聞いていても大丈夫は到底信じられなかった。

眉間に皺が寄る。階段を降りようとして一瞬目を離す。それと、Aの身体が傾いたのは同時だった。

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