黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ9)

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荷物を取りにロイヤルガーデンに向かうも、いざ目の前まで来たら足取りが重い。吸い込まれるような青空を見てため息がこぼれた。

いきなり出ていって、みんなを驚かせたよね…？あのバカのせい。なんで私がこんなにモヤモヤしなきゃいけないんだろ。

そう思いながら、よし、と扉に手をかける。するとキィィ…と音が細く響くから。一人、また一人とこちらに目が集まる。

「Aさん、おつかれさまです」

「うん。…あれ、もしかして私の仕事、あむがやってくれてた？わーごめんね」

「気にしないでいいよ。Aこそ、あたしの代わりをしてくれたんだから」

明らかに書類の量が少ない。片付いたものは、ここに姿がないややが運びにでも行ったんだろう。

会話がひと段落ついてから隅に置いていた鞄を手に取る。背後からは視線を感じていた。その犯人はきっと、私に声をかけた彼だ。

「相馬くんに会いませんでした？」

「あー……そういえばいないね」

「まさか、逃げてきたんじゃ」

「そんなことをする理由なんてないでしょ。偶然だよ」

もういいかな。やっぱり体調悪いみたいだから今日は失礼するよ。こう言ってしまえば彼は口を噤むしかなくなる。

嘘とは言いきれないことが、彼も、皆も、私も分かっているから。可能性が可能性で終わればいいんだけど、ね。

「Aちゃん。ゆっくり休んでね」

「心配ありがとう、なでしこ。じゃあお先に」

……

…………

ヨル君は学校の周辺にいるらしい。こはくの"なんとなくレーダー"ですぐに見つかった……けど。

待て、これどういう状況？？こはくと物陰に身を潜めて、視界に映る彼らの様子を伺う。

「なにあれ。ロストとヨル君って知り合いだったの？」

「そんなの聞いてねーデスけど…。ロストはヨルにも月詠イクトにも会わねーようにしてたデス」

それがなぜ。どういう風の吹き回しだろう。

何を話しているのかはこっちまで聞こえなかった。ただ、ヨル君がイライラしてるのはなんとなくわかる。あいつ、煽ってるなぁ。

ロストは気が済んだのか、忍者が煙幕に紛れて姿を消すように光を使って忽然と姿を消した。否、ヨル君が目をつぶっているうちに私が持っているたまごの中に息を潜めた。

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