黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ6)

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痛い。痛くない。嫌い。嫌いじゃない。

じゃあ好き？それも違う。

「あいつ、ストレートに地雷踏み抜いてきやがって…」

とにかく一人になりたくて、人気のない裏庭の東屋まで来た。椅子に腰掛けると脱力感に襲われる。背中が丸まり、腕を組んで顔を伏せる。

あ、いかんいかん。ナチュラルにこはくの口調になってしまった。……今はいいか。こんなときまで「誰かに見られたら」なんて考えたくない。

「霧羽さん？」

「！？ …………うわあ、」

「失礼を隠そうともしないね。久しぶり」

「どーも、二階堂"先生"。驚かさないでください」

見事なフラグ回収。話しかけるなオーラが出ていただろう私に声をかけたのは、先日色々あった元イースターの二階堂さん。意外だ、面倒なことに足を突っ込むタイプには見えないのに。

ドジで怪我をして短期の入院をすることになり、しばらくお休みの"設定"。これを知る生徒はガーディアンのみ。赴任して約半年でやめるのは評判に関わる。しかし怪我の後遺症で辞める理由を作れば不思議に思われないからだ。

考えてよと理事長に丸投げされたときは「は？」って感じ。この人面白がってるな。別にいいけれど…。

「明日から復帰するらしいですね」

「僕は君が怖いよ。一体どんな手を使ったのか…」

「あらやだ。そっちこそオブラートに包んでください」

私は今、虫の居所が悪いんです。そう言うと、ふむ、と考える仕草をしてから向かいに腰掛けた。

いや話したこと理解してる？

「悩み事があるなら聞くよ。元々教員免許も持ってるし、彼らには言えないからここにいるんでしょ？」

「第三者には気軽に話せると？」

「前から思ってたけど、霧羽さんは自分のことになると態度に出過ぎ」

「うっ」

教師面うざい。そう言おうとした矢先、図星で返されて吹っ飛んだ。クラス担任でもないのによく見てるんだなあ。

そこには、少し絆されそうになってる私がいた。敵意むき出しのこはくの口を、親指で塞ぐ。ごめん。でも。

彼は、根は良い人なんだと思う。

「気持ち悪いんです。事実上の兄が、妹の私を強調すると」

私には無い。楽くんは楽くんで、二織は二織。兄さんと慕う記憶はどこにもない。酷く吐き気がする。

「知ってますよね。私の事情」

何者かと聞くぐらいだ。こちらが嗅ぎ回るように、彼も内々に私の欠点を探していた。それに気づかないほど能無しじゃない。

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