黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ39)

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189# 出会いの季節ページ39

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卒業式から一週間が経った。この間に聖夜学園では中高大、すべての卒業式を終わったらしい。さらに昨日は空港でなでしこが発つのを辺里と見送った。そして翌日のこと。

本来ならオフのはずなのに、私は彼に言われて学校に来ていた。しかも、なぜか場所は理事長室。面倒くさそうな匂いがプンプンする。

一応、理事長の前だ。卒業式で久しぶりに羽織ったロイヤルケープをまた身につけてきた。約束の時間はギリギリ。そう思いながらドアをノック。中から声が聞こえて入室した。

「失礼します」

「あ、Aさん。お休みだったのにすみません」

「いいよもう。で、何の用？ ……大体予想はつくけど」

室内には理事長、そして辺里。ここまでは予想の圏内。

だがさらにもう一人。見慣れない彼は新品の制服に着られていた。青色のロイヤルケープまで着用済み。言われなくても察しはついているが、自己紹介タイムに。

「お初にお目にかかります。来月から初等部四年に転入。更にはガーディアンでJチェアとなる、三条海里と申します。そして……」

「ムサシだ」

「以後よしなに」

四年生になる？背、高いな。三条は前髪を真ん中分けにして、目が悪いのか眼鏡付き。ガーディアンでは唯一のメガネキャラとして、早くもアイデンティティを獲得したね。

それに、見た感じは几帳面そう。うちは時折感情のままに行動するメンバーが多い。彼が頭脳面でも戦力になったらだいぶ嬉しい。口調も大人びていて、言われなければ二学年下には見えないな。

「トリックチェアの霧羽A。……辺里とはもう話したのかな？私も彼と同じく春から六年生なんだ。気負わず仲良くやろうね。そして私のしゅごキャラだけど、」

「こはくデス」

「？ ……そちらのしゅごたまは？」

「顔を見せたくなったら、話したくなったら。基本この子は気分次第なの。まあ、君に興味が湧けば出てくるよ」

閉じこもるロストを右手に載せて、とりあえず見せるだけ。今日のことは彼も知っている。着いてきた、ということは、何かしらあるってことだ。

ロストが気にする、ねぇ。あむのときとは大違いだ。なぎひこのときのように、後でちょっと仕掛けてみようかな。

『藤咲さん』

『……たしか、霧羽さんよね。なにかしら』

『君って男の子だよね。どうして女の子のフリをしているの？』

私、隠しごとをしている人の目は見ればわかるから。

それに……三条って。偶然だったらいいけど。

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