黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ37)

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187# 私ときみ・閑話ページ37

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今日は少し早いクリスマスパーティー。24か25日。家族で過ごす予定だったり、別の用事があったり。みんなが集まることは出来そうにないらしい。そのため、二学期の終業式の後に決行となった。

料理を食べたり、プレゼント交換をしたり。出し物を準備してくれた者もいた。楽しい時間はあっという間。私はお手洗いと称してロイヤルガーデンを一旦出て、外の空気を吸いに。

長く、白い息が溶ける。無言で校舎を見上げたとき、右側から足音が聞こえてきた。その方にいたのは

「なでしこ」

「Aちゃん。……ううん、Aさん」

「別に言い直さなくていいのに。そっちの姿で用があるってこと？」

私も彼女の……いや、彼の本当の名前を呼ぶ。すると、ロストが私たちの間まで出ていく。何をする気？

見守っていたらロストの方から口を開いた。

「……答えは出た？」

「うん。きみのおかげだよ。ありがとう」

話が全く見えない。彼らの間に何があったんだろう。……けれど、なぎひこがお礼を言ってるから悪いことでは無いのかな？

首を傾げていたら、なぎひこにもう一度呼ばれた。

「踊りの修行で、ヨーロッパに留学することにした」

彼の家……藤咲家は日本舞踊の家元である。そして彼こそが跡取り息子の藤咲なぎひこ。跡取りとして、また、舞踊を敬愛する者として。彼は日本を出たいと言った。

一番の目的は、表現の幅を広げること。ダンスは舞踊だけではない。色々な外国のダンスを勉強したい。そう言う彼の目からは、強い想いを感じた。「いつから」と聞けば「春から」と返される。

「パーティーが終わったら、辺里くんにも言うつもり。ややちゃんや相馬くんも……留学の前にね」

「……あむには？」

なぎひこは言葉を詰まらせる。彼が女装した姿、なでしこ。彼女とあむは、今では自他ともに認める親友である。

だからこそ言い難い。しんみりしたくない。進級したらまたクラス替えがある。そのときまで秘密にしてほしい、と頼まれた。

「分かった。私、口は堅いから信用していいよ」

行こう、二人とも。

私はしゅごキャラたちに目配せをする。すれ違うときには、一言ぼそりと「頑張って」と残す。そして、まだなでしこの彼女を置いて、先にロイヤルガーデンへの帰路を辿った。

「私も……そろそろ答えを出さないとな」

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