182# 裏の顔 ページ32
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たまごの隙間をちょっと開けて、こそりと息を潜める。イースターの飼い猫がいなければおれも顔を出せたのに。
……気にせず姿を見せればいい、なんて。そんなことできるわけがない。下手をすればAの兄貴たちだけではなく、キリクにさえボロクソに言われることになる。鷹は最後の最後まで爪を隠した方がいい気がした。
おれはこんなに色々考えているってのに、いい気なもんだ。ジョーカーのしゅごキャラたちといえば……客がいないファンシーな乗り物を前に、乗りたい・遊びたいと目を輝かせている。
「ダメダメ、遊園地なんかで喜ぶの乳幼児だけじゃん！ あたしはこんなの三歳で卒業してるしっ」
「どーせ誰も見てねーぞ」
「どれ行く！？」
「わっ」
げっ。……説明しよう。今、何が起きたかというと。
遊びたい理性と戦っていたジョーカーは、月詠イクトの一言でストッパーがぶち切れたらしい。自分らだけで行けばいいのにAの手を取ったのだ。
まさかそうなるとは思っていなかったA。いきなり引っ張るせいで、スクールバッグのジッパーの隙間からおれがたまごごと地面に落ちた。やばい。さっきのがフラグみたいに思えてしまう。
「あっ、ロストだ！」
「今日はAと一緒だったんだ〜」
「ロストも遊びたくて出てきたんですぅ？」
あﾞ〜〜〜、三人ともうるっせえ！
本当は声に出して怒鳴ってやりたいがそうもいかない。春頃だ、この声で口を利いてしまっている。ヨルに関しては最後に顔を合わせてから日が浅い。
今は逃げるしかない。たまごに籠ったまま大ジャンプをして、そのまま遊園地の中へ紛れ込む。ここまで来れば、なんとなくレーダーでも追えないくらいにはなっただろう。
「ふは、失敗したねぇ」
その声は。
たまごから出て振り返り、そこにいたのは。……おれの周りのしゅごキャラでは最もイラつく奴だ。話しているだけでストレスが溜まる奴。
「わざわざ笑いに来たのか、悪趣味野郎」
「だって……ロストが焦るところいつぶりだろうって。たまごに戻ってもシキの傍でずっと見てた。お前も、イクトたちも」
ムードメーカー役が多い二織。苦楽という言葉がある。楽しいことが続けばいいと願う二織でも、一人になれば笑顔が消える。周りが察して声をかけるまで何も言わず、気丈に振る舞う。
『苦』は彼奴のそんな部分で、キリクが二面生である原因だ。
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華奈(プロフ) - 更新待ってます！ (2022年9月5日 22時) (
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年3月18日 20時
