黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ23)

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173# 変わりすぎページ23

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長閑とは今日みたいな日のことを言うと思う。いい天気。星組のあたしの席は窓際で、この時間にはあたたかい光が差し込むから寒くもなく丁度いい。は〜〜〜平和だ。

しかも今日は週に一度の五時間授業の日。あと十五分で終わる。そしたらロイヤルガーデンに集まって、いつもより長いお茶会だ。早く授業終われと思いながら板書をただ写す。

集中力は完全に途切れていた。……と、そのとき。四つ折りにされた可愛いメモが前の方から飛んでくる。

『今日のお茶会。あむちゃんの好きなガトーショコラよ♡』

なでしこの字だ。やったぁ！

顔を上げて彼女の席を見れば、ウインクをして手を振っていた。あたしはOKを伝えるため、左手の親指と人差し指の先をくっつけて"○"を作る。

だが、さすがに注意力が散漫しすぎていた。ふいに右側から伸びてきた手にメモを取られてしまう。いつのまにかあたしの席の隣に立っていたのは……

「あ」

「ほーぉ、いいねぇガトーショコラ。……の前にぃ、職員室でお説教♡」

「に、二階堂っ……先生」

顔が引き攣る五時間目。教科は理科。あたしたち星組の担任は四月と何も変わらない。元イースターの二階堂先生。

もう本当にビックリしたんだから。朝のHRで今日から復帰すると言われてさぁ……。なでしこだけじゃない、唯世くんも何も聞いていないって言うし。

理由を訊きたくても十分休みも昼休みも捕まらない。あたしはずうっと聞きたかったことを職員室に呼び出されてからぶちまける。周りの先生たちは部活動で殆ど出払っていたからね。

「もーーーっ、何でちゃっかりまだ先生やってんだよ！」

「失礼だな。今度はちゃんと教師として採用されているんだ。元々免許ぐらい持ってたしね」

「ず……図々しい」

「んー、何か言った？君だけ宿題三倍にしちゃおっかな」

「なにそのキャラチェンジ！！」

驚くあたしを見ながら先生は頬杖をする。生徒の前でその態度いいの！？そして「やっぱり今日からの復帰で正解だったな」と言った。

え、どういうこと？一緒に呼び出されたなでしこも、頭にハテナを浮かべている。

「本当は、もっと前に教員として戻るはずだったんだよ。でも……霧羽さんが倒れたでしょ？僕の居場所を作ってくれたのは理事長と彼女なんだ」

「Aが……？」

「そう。あの子が学校に戻るまでは君たちガーディアンに理由を説明するのも面倒そうって、つまるところ理事長の判断だよ」

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