黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ21)

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171# 大きな一歩・後日譚ページ21

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ぼくのクラス。月組には、幾日も空いた席がある。明日には十日くらいになるかな……なんて。これが当たり前になってほしくないのに、待ち続けている連絡は未だ無し。

落ち着くために深呼吸。今日もいつも通り登校し、校内へ。教室へ向かう道は徐々に賑わいが増している。……でも、高学年の廊下に下級生がこんなにいるのも珍しい。

少し疑問に思いながら歩いていたら見知った姿を見つけた。彼女なら理由を知っているかもしれない。

「結木さん」

「あっ、唯世やっと来た！」

「……何かあったの？」

「そーなんだよ！！大変なの、急いで急いで！」

早く来て、と手を引かれるままに人の間を縫って小走りにさせられる。結木さんの様子を見るにただ事じゃない。いったいどうしたんだ。まさか、‪バツたまが……！？

できるなら叶わないでほしい予感に焦りがこみあげる。彼女が足を止めたのはぼくの教室の後ろの出入り。「ちょっと通してね～」と結木さんの赤いケープを見失わないように着いて回ると、途端に視界が晴れる。

暗闇から突然明るい場所に来たかのように。なぜか目がチカチカする。その光景が現実のものと思うには時間がかかった。

「お迎えご苦労さま、やや」

「ううん、ややも早く唯世を会わせたかったから」

「そっか。さて……」

久しぶりだね、辺里。

他の誰でもない。ぼくに対しての挨拶、言葉、声。目が覚めたんだね。どうして連絡してくれなかったの。そんなことは吹っ飛んだ。

今、目の前にAさんがいるならそれでいい。

◆

昼休みはロイヤルガーデンに集まった。Aさんの話を聞いた感想。やけに心臓に悪いサプライズだ。

しかも、

「全く秘密ってわけじゃないよ。空海には話してたし」

「あら……Aちゃん、相馬くんのこと苗字で呼んでいなかった？」

「なでしこの言うことも気になるけど今はそれより！空海、なんで教えてくれないの」

「え？だってAさんが黙ってろって。その方が面白いからってさ。いや、オレは最初反対したぞ」

「空海だけずるい〜〜！ややもAのこと心配してたのに！！」

結木さんの言うことはもっとも。これには背筋を正して、Aさんはきちんと謝罪してくれた。

まあでも、何はともあれ。これでガーディアンメンバーが揃った。ぼくの心にぽっかり空いた穴が塞がるのを感じながら、日常に戻ることに満足を感じた。

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