黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ3)

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傘にボツボツ落ちていた雨粒は、昼をまたぐ頃にはしとしと降るぐらいになった。そして、その日の最後の授業が終わる時間帯にはようやく雲の隙間から陽の光が差し込む。

泣き疲れて、涙も枯れた。オレたちが一筋の希望を目にしたのは長い時間がかかったけれど。やっと晴れた空を見ても嫌なことは頭から消えてくれない。きっと、兄貴からAのことを聞いたからだ。

「どこ行くんだ？」

「んー、聖夜学園」

家の方向から反れると、キリクが口を開く。こいつはオレの様子がおかしいことに気づいているだろう。授業中に指名されても、何度注意されたかわからないほどに今日は上の空だったから。

学校の奴には「悩みなさそう」と言われるがそんなことはない。オレだって人並みにあるさ。個人的な悩み、ではないが。

「ガーディアン？それともサッカー部？」

「あっ、その選択もあるのか。どうしよう急に迷う」

理事長に連絡はしてたから入校許可証は受け取った。校舎には入らない。どちらにしても外のエリアだから。変わらないなあと適当に歩きながら思う。懐かしい。

ただっ広い中庭にそれは突然現れた。ぴょんぴょん跳ねている。元気なたまごだ。オレはもうガーディアンの人間ではないんだけど…。母なら行けと言っている場面だ、へいへい。

「オレのこころ、解錠(アンロック)」

いつ一般人が来るか分からねえから叩くなら早めに。イフセカイ、と技名を口にしたら秒殺だ。バツたまは白いたまごに戻り、持ち主の元へ帰って行った。

オレは地上に降りてからキャラなりを解く。その直後のことだ。ガサガサと木陰から誰かが出てきた。スカート、女の子だ。彼女はしゅごキャラを三人も連れていて、顔も見たことがある。

「もしかしてバツたま追ってた？ごめん、遅いからオレが救っちゃった」

首から下げた許可証を見えるように持ち上げても、彼女の訝しむ表情は消えない。嫌な言い方だったか？事実だろ。力があるのに見ないフリしてもし孵化したら持ち主が心配だ。

でもバツたま狩りは本来JOKERの仕事。しかも敷地内。横取りしたことは一ミリくらいなら申し訳ないと思ってる。

それより彼女がここにいるということは、妹は優雅に書類整理中だろうか。

「丁度よかったわ。今のキングの元まで案内してよ、ハンプティロックの継承者さん」

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