黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ18)

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168# 大きな一歩ページ18

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距離感が分からない。

もし言葉にしたら、周りの奴らは「珍しい」「お前でもそんなこと思うんだな」と笑うだろう。だからこそ相談しようとか、そこまで思ったことはなかった。

『君も行く？見舞い』

「そ……そりゃあ、めちゃくちゃ行きたいですけど」

朝、アラームの前にモーニングコールがされた。相手は楽さん。徹夜明けだから若干声が眠たそう。さっきも欠伸してた。

まだ非常識な時間に電話してきてその用事は、Aさんのこと。オレが寝てるかもしれないと思ったから朝にしたらしい。

メールでも良かったのに、と言えば「記録が残ると厄介だろ」と言われた。これは楽さんの独断。先輩に言われたわけでも、唯世たちを同じく誘うわけでもない。オレだけに、言っている。

『早退はガーディアン権限でどうとでもなるだろ。……まあ理由は家の用事とかでも言っておけ』

「雑……。Aさんもそれで休んでるのに上手くいきますかね？」

『…………空海くんってそういうの気にしたっけ？ていうか君はさ。Aに言いたいことあるんじゃないの？』

オレの事情は聞いてない。これは楽さんからのチャンス。彼女とオレが一対一で話せる機会を、わざわざ作ってくれようとしている。

なんでこの人は、この人たちは。言わなくても知ってるみたいなんだろう。見透かしてくる感じ。

先輩も、細かい作業は不得意そうなのにキャラなりすると似合わないくらい繊細な技出すんだ。サッカーやるときも自分にボールが回ってくるにはどうすればいいか、皆をよく見ている。

「訊きたいことも言いたいこともあるんです。でもAさん、心の中まで踏み込まれるの嫌いっていうか。好きじゃなさそうだし……」

『その通り、だけど。遠慮しなくていいんじゃない？空海くんの気持ちが届いたら真摯に応えてくれる。大丈夫。"あのとき"とは違うよ』

あのとき。今までに一度だけ。失言をして傷つけたことがある。Aさんは無理して笑って流したけれど、オレ、それがあってからあまり近づきすぎないようにってなっちゃって。

でもよそよそしいのはオレらしくないし、先輩にも頼まれたしで。正直……自然だったか後からいつも気になってるわ。

『……で、結局行くんだよね？俺もう限界。寝たい』

「あっ、すいません！行きます」

返事がまとまらないでいたら痺れを切らした楽さんが話を戻す。オレの四限目が終わったら、校門前で待ち合わせることにした。

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