黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ15)

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「こんなことついでに聞きたいことがあるんだけど。いつもはうるさい奴がいるから、おれたちだけでゆっくり話すことも中々ないしな」

「それってこはくでしょ。怒られるよ？で、何？」

「実のところどう思ってんの？月詠イクトのこと」

おれが素っ頓狂な質問をしていたなら、笑ったり眉をひそめて「は？」と不満そうな顔をするはずだ。

だから、その……おれの真意を探るような目。尚且つ何も一言も発さないときは少なくとも訊いた意味はあるらしい。

長らく黙って、最初の返しは「性格わっる」だった。いや、Aに言われたくない。そういうところはおれもお前も同罪だろう。

「どうしてロストには隠し事ができないんだろう」

「こはくが"未完成の自分"で、おれが"既に完成されている自分"だからだよ」

ほら、ジョーカーやキング、クイーンはキャラチェンジをすると口調や性格がしゅごキャラに似る。対してジャックやエース、シキと月詠イクトもか。彼らは普段とそんなに変わらない。

これはおれの見解だけど。前者は現実と理想の間にギャップがあるから第二の自分、そして後者は持ち主の今までが凝縮された唯一無二の自分が反映されるんだと思う。

「で？」

「で……って。"何とも思っていない"は嘘かな」

「はっきり言わないとおれ分かんない」

すっとぼけるとAは舌打ちする。その態度ができるなら倒れない限りはとりあえず心配は要らない……か？

彼女は空に輝く三日月をじ…っと見つめる。その横顔は何かを期待するような、でもどこか悲しそうな。形容しがたい表情だ。

「A」

「なに」

「夜風が身体に障る」

「……そうだね」

おれが病室に入ってからAは窓とカーテンを閉める。たまごに引っ込む直前、上下の殻の隙間から彼女の様子を窺った。

夢の話は聞こえてた。名前が分からない奴。正直なところ、おれはそいつを知っている。その男は………Aをこんな目に遭わせた張本人で、

「記憶を戻すのに不可欠だ」ﾎﾞｿｯ

「ん？何か言った？」

「いや。おやすみ、って」

Aの笑顔を最後に、おれはたまごの中で眠りについた。

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