黒ネコさんは悪い人じゃない④【しゅごキャラ】 (ページ14)

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それから色々話をした。当日や兄たちの様子、お見舞いに来た人とか。

今日は面会時間が終わっているから家族とは会わせられないけれど連絡はしておくね、と。看護師さんも当時を知っているから、最後に「目が覚めて本当によかった」と若干目が潤んでいた気がする。

「それじゃあ"また明日"」

「"明日"、です」

手を振って、バイバイ。病室に誰もいなくなってから一息。花持先生、必死に保っていたのバレバレだよ。明日。それを言うの怖かったんでしょ。

栄養を取り込むために、腕には針とガーゼ、管が点滴装置に繋がれている。所詮五日。介護は必要とはいえ、ベッドから降りてもちゃんと立てた。カチカチと壁掛け時計の秒針を聞きながら窓を開ける。今夜は綺麗な星空だ。ちょっと寒いけど。

「そんなところにいないで中にいたらいいのに」

「……………気づいてたのか」

「ロストは心配な時ほど私の傍を離れないから。でも不安だったんだよね、色々」

いつまで目覚めないのか。こはくのときのように、自分も忘れられてしまうんじゃないか。いや、それならまだマシかもしれない。

みんなが、意識が戻る次に心配してるのは、私がどこまで覚えているかだ。もしかしたらまたリセットされる。反対に全部戻る可能性だってあった。現状維持だったのは、ものすごく低い確率だと思う。

「…こはくは？元気してる？」

「三日目くらいまではお前に張り付いてた。欲しいものを買ってもらえなくて駄々をこねる子どもみたいに。でも、それは精神的に良くねえって。日中はここにいるけど、夜は楽のところに行ってるよ」

「ふふ、あの子は楽くんにすごく懐いているよね。で、ロストはどうして居るの？あんたこそ四六時中ここにいたら大事なインスピレーションは低迷するんじゃない？」

ああ、そのことだけど……。

彼が続けた言葉が信じられなくて、思わず耳を疑った。

「おれは逆に日中いなかった。というかここにいられなかった。シキが毎日ここに来るのは当然として、月詠イクトも連日来てたから」

ガーディアンとの鉢合わせが不味いのはさすがに分かっているのか、平日の夕方は避けてた。ロストは私の顔を窺いながらいやに慎重にそれを告げる。

先生たちが言っていた、私が意識不明のときに病室を訪れた人の特徴の中にイクトさんに当てはまるようなものはない。多分忍び込んだんだろう。

………それも、毎日？

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