黒ネコさんは悪い人じゃない②【しゅごキャラ】 (ページ31)

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「Aはお兄さんいるのに面倒見良いし学校でも大人っぽいから、中学生とか歳上の方が似合いそう！」

「ねえ聞いて。」

反応しずらいことばかり言ってくるやや。恋愛として誰かを好きになった経験がとにかく無いし、小学女子にありがちな「アイドルなら誰が好き」「どういう人がタイプ」はハッキリ言って私の鬼門だ。

少女漫画や両親の受け売りで、恋愛の概念は承知しているつもり。楽くんも何度か彼女作ってたし。まあ学校と家事とバイトで忙しくてひと月持ったことは聞いたことないが。これに対して二織は友達としては好きだけど…と見られる男らしい。あと、私みたいに同性にモテる。尊敬してると言う相馬のような場合が9割。

「んじゃーシンプルに。歳は上と下、それともタメのどれがいいなぁ～って思う？直感で！！」

「……えっと。」

話してて気楽なのはタメなのかなあ…。でも恋愛だと、タメも年下も同じような感覚を持っている。私がリードしなきゃと思うから疲れそう。

じゃあ歳上？いや歳上は逆に気遣わなきゃと思う。あの二人の兄を見てるとそうせずにはいられないのだ。

あと歳上の知り合いといえばイクトさんだけ。彼は身内ではなく赤の他人だから、贔屓無しに見れる唯一の人だ。変に飾らなくていいし、私のこともある程度理解してくれている。比較的隠しごとが少ないから気を許せる瞬間も人よりある。イクトさんみたいな人なら………、

………ん？

待って、私…今なに思った？

「A～、どうしたの？」

「あぁ、えっとどれが良いかって話だっけ。そうだね、タメか歳上かな。ややや後輩たちの面倒を見るで下は間に合ってるし。」

「ちょっとどういう意味ぃ！？」

全然直感ではなく、ガチで考える私に痺れを切らしたのか名前を呼ばれた。思考をストップせざるを得ない。ビクッと跳ねた肩に気づかれないように、なるだけ“いつもの調子”でありきたりな回答をした。それも本当のことだし。

それより私らしくない。誰かに気を許すなんて。どれだけ取り繕ったって無駄なんだ。イクトさんに限らず私を知る人にとって、私が誰かの悲劇的な女であることには変わりない。そんなことを思う相手に心を開く？

「ばっかみたい。」ﾎﾞｿｯ

「あれ、何か言った？」

「ううん、何も。」

違う。

こはくもロストも、私は可哀想じゃないって言ってる。

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