黒ネコさんは悪い人じゃない②【しゅごキャラ】 (ページ16)

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「あむちーと唯世、遅くなーい？やや待ちくたびれたんだけどぉー。」

後から合流した二人が言うには、肝試しをすること自体をあむに伝えられなかったらしい。つまり、それも辺里に任せてこっちに来た。

だが、墓地に留まって何十分経っただろう。彼らが来る気配は微塵もない。足音さえもなく、シンとしている。末っ子はすっかり退屈しきって、相馬となでしこがそれを宥(なだ)めている状態だ。

「ねね、ちょっと思い出したんだけど、唯世って好きな人いたんだね。なでしこ(なっちん)たちは知ってた？」

なんの前触れもなく始まった恋話(コイバナ)。しかも人の。本人には悪いけど、ややを落ち着かせるために利用させてもらおう。先に謝るね、ごめん辺里。いないけど。

首を横に振る相馬となでしこだったが、私は素直に頷いた。思った通り食いつくややと、決して無関心ではない他二人。雑談程度にはなるだろう。

「辺里の好きな人は…、去年亡くなったよ。」

「……えっ、」

「まあ綿密に言えば人外なんだけど。」

「ん？」

「えーと、……あったあった。はい、この子だよ。」

スマホに保存しているその写真は、以前彼の家に出向いた際に撮らせてもらったときのもの。当時、彼女はまだ歩行ができていて私も散歩に同行したことがある。

三人に見せたのは丁度その日、公園で撮影したものだ。今より幼い自分を見せるのは少し恥ずかしいけれどしょうがない。

私と辺里が彼女＿＿＿＿ボルゾイの雌であるベティと一緒に写っているのを見て、皆は驚いていた。

「わんちゃん！？」

「そっ。この子が、辺里が“一番好きな女の子”。嘘はついてないからーって本人は言ってた。」

「色んな意味でびっくりさせられたな。」

「ふふっ、一本取られたわね。」

レモンホワイト色の毛はフサフサで、初めて触れたときはやみつきになりそうだったのを今でも覚えている。穏やかな雰囲気になったと同時に、加えて私は懐かしさを感じていた。ベティをデータを介してではあるが、久しぶりに見たから。

それに、話は変わるが一つ伏せていることがある。

「…今は、気になる女の子が出来たらしいけどね。」ﾎﾞｿｯ

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