She's Very

33 ページ33

たまたまスーパーで会った白井さんに出口で待っててと言われたので、レジで会計を済ませて待つ私。

…たぶん、一緒に帰ろうってことだよね？







たまごコーナーにいる白井さんを見つけたときはびっくりしたけど、後ろ姿で白井さんだって分かった自分にもびっくりした。


ライブ映像で白井さんばっかり食い入るように観てるから？それとも、白井さんが好きだから？


まぁどっちもだろうけど。







５分ほど待っていると、スーパーの袋を持った白井さんがやって来た。



「…ごめん、待たせて」



「いえいえ、」



「…じゃあ帰ろうか」



「はい！」





…なんだかこの会話、カップルっぽい…！！



マンション以外で会うのも初めてで新鮮で。



それに、白井さんはさり気なく車道側を歩いてくれてるし。ああ、優しい。







「…あのスーパー、よく行くの？」

信号待ちをしていると、話しかけてくれた白井さん。




「よく会社帰りに行きますよ」




「だから、たまごが金曜日安いことを知ってたんだ…すごいね」

…まさか、凄いだなんて言われるとは思ってなくて、なんだか拍子抜けしてしまう。




「えっと、ほら、主婦って食品が安い日に目が無いじゃないですか？…あっ、まだ私は主婦じゃないし、なる予定もないですけど！」


褒められて、舞い上がって意味の分からないことを口走ってしまった…何言ってんだ私…！！



「ははっ、Aさんって本当に面白いよね」

目を細めながら笑う白井さんに思わずどきっとする。



「いや、そんなことないですよ…」

ああ、恥ずかしい。さり気なく相手いませんって発言しちゃったし。事実だけど…。






すると、白井さんは急に真面目な顔になって、

「…なる予定ないの？」

と聞いてきた。




「…相手がいないんで…」




「…そうなの？」




「あ、はい…」




「そっか」

…白井さんをちらっと見ると、嬉しそうな、安心したような、そんな表情で。




白井さんがどういう意図でそんなことを聞いたのかさっぱり分からないけど。

でも、逆にこれは、白井さんに彼女がいるのかどうか聞くチャンスかもしれない。




「白井さんは…？」




「えっ、おれ？…おれもいないよ」




…今までに白井さんが部屋に女性を連れてきているのを目撃したことはなかったから、いないんじゃないかな、というか、いないで欲しいって願ってたけど。


本人の口から聞けて良かった。




…これで思いきり告白できる。

34→←32 Mside

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す