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階段を上ると、私の部屋のドアに寄りかかっている白井さんがいて、思わず胸が高まる。
「白井さん!」
「あ、Aさん、おかえりなさい」
おかえりなさいだなんて久しぶりに言われたなぁ。ちょっとくすぐったい気持ちになるけど、嬉しい。
「…ただいまです」
「…いきなり変なLINE送ってごめん」
申し訳なさそうに白井さんは言うけれど、
「…ちょっとびっくりしましたけど(笑)連絡くれて嬉しかったです」
と正直な気持ちを伝えると、
「そっか、それなら良かった」
ってはにかみながら言ってきて。
あーもう、可愛いなぁなんて。
「あ、これ…良かったら食べて」
食べて、ってことはやっぱりケーキ?
わざわざ用意してくれたのかな?
「えっいいんですか?」
「うん、Aさんに食べてもらいたくて」
…そんな言い方されたら勘違いしちゃうよ。
本人は無意識にそう言ったんだろうけど。
「ありがとうございます…!」
受け取った紙袋を覗いてみると、タッパーに何か入っていて。
「…実は、おれが作ったバナナケーキなんだけど…」
…おれが作った?
ちょっと待って、白井さん。
女子の私でも作れないバナナケーキを、[Alexandros]のギタリスト白井さんは作ってしまうの?え?
「…白井さんってケーキ作れちゃうんだ…」
「あ…いや、もともと甘いものが好きで、たまに時間あるときは自分で作ってて…」
…いやいや!
私も甘いもの好きだけど、時間あっても自分じゃ作らないって!
「…凄いですね…」
「…もしかして、ひいてる…?」
「まさか!むしろ自分の女子力の無さに絶望してるぐらい、白井さん凄いなと…」
「…おれ別に凄くないよ。Aさんだってやればできるって」
…ケーキってやろうと思えば簡単に作れるものだっけ。
「はは…できますかね(笑)」
「…今度教えてあげるよ」
「え…?」
教えてあげるよ、って…。
「あ…その、良かったら、一緒に作ればいいかなぁと…」
まさかのお誘いに胸がとくんとなる。
「ごめん、変なこと言って」
何も言わない私に、白井さんは謝ってくるけど。
「…ぜひ、教えてください」
全然変じゃない。凄く嬉しい。
「え、いいの?」
…自分から誘ってるのに(笑)
「…逆に私でいいんですか?」
「…うん」
そう言って口角が少し上がる白井さんが、ああやっぱり好きだなぁと思ってしまう。
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lala(プロフ) - [ゆー]さん» はじめまして、コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです\(^o^)/これからも楽しみにしていただけるようなお話をお届けできるように頑張ります。ありがとうございます! (2017年6月17日 11時) (レス) id: 6e6d723bbc (このIDを非表示/違反報告)
[ゆー] - はじめまして!まーくん大好きなのでいつもキュンキュンしながら読ませていただいてます!どんな展開になるのかたのしみです♪これからもゆっくりマイペースに更新してくださいね!楽しみにしてます! (2017年6月6日 21時) (レス) id: 1d5e58c086 (このIDを非表示/違反報告)
lala(プロフ) - なっちさん» ありがとうございます!白井さんが好きで好きでこのお話を作ったので、そう言っていただけて嬉しいです(/_;)不定期更新にはなってしまいますが、頑張ります。ありがとうございます! (2017年6月4日 10時) (レス) id: 6e6d723bbc (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 白井さんが好きで、こういった小説、すごく嬉しいです!これからも、楽しみにしてますっ♪応援してます☆ (2017年5月27日 17時) (レス) id: 60be99a415 (このIDを非表示/違反報告)
lala(プロフ) - あんこさん» きゅんきゅんしていただけて嬉しいです!白井さん好きな方にそう言っていただき嬉しいです(;_;)まだまだお話は続きますのでよろしくお願いします! (2017年5月9日 0時) (レス) id: 580dc5912b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lala | 作成日時:2016年9月20日 21時