She's Very

13 Mside ページ13

考えてみても、Aさんに謝られることなんて思いつかなくて。

そんな戸惑っているおれに目線を合わせて



「…その…私、白井さんがアレキサンドロスの方だってことを知らなくて…本当にごめんなさい！」


そう言ったと思うとがばっと頭を下げてくるAさん。



…もしかして、ワタリドリのMV観てくれたのかな。


別に謝ることなんて何にもないのに。
むしろ、知ってくれて嬉しい。




「Aさん頭上げて。謝らないでください」



「いやっ、でも…私、白井さんが有名な方だって知らずに馴れ馴れしくしてしまって…」



馴れ馴れしくだなんて…

「そんなこと…逆によそよそしい方が嫌です」



「えっ…？」



「だから、今までどおりにして？」



「あ、はい…」



「その、もしかして、ワタリドリ観たとか…？」



「はい、観ました…その、素敵な曲ですね！」



やっぱり観てくれてたんだ。

「そっか、それなら良かった…」

おれがそう呟くと、



「それに白井さんが凄くかっこよかったです！」


「…！」

かっこよかった、だなんて言われるとは思っていなかったおれは声が出なくなる。



「あっ…」



そんなおれを見たAさんは恥ずかしそうに目線を逸らす。



…Aさんが可愛らしくて胸が高鳴る。




「…ありがとう」

なんとかそう伝えると、


「いえ…」


やっぱりまだ恥ずかしそうにするAさん。




「…じゃあ、おやすみなさい」



「はい…おやすみなさい…」





.





自分の部屋に戻っても、恥ずかしそうにするAさんが頭から離れなくて。


…なんとなくだけど、


多分おれは、Aさんのことがたぶん…。

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