She’s Berry：2nd

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そんなことを感じたライブが終わってから
どれくらいの時間が経ったのだろう？


会場内に残っている人の数も
かなりまばらになっていた。




だけど苦しくなるばかりの胸の内に、
私はライブが終わったあとも
なんとなくその場を動けずにいた。




・・・今日見た洋平さんが、
昨日の夜、一緒にいた人だなんて思えない。




そう思った時、
ポケットの中のスマホが震えたような気がした。




『来てくれた？まだ居るなら楽屋おいでよ』




震えたスマホには
洋平さんからのメッセージが入っていた。




楽屋？楽屋ってどうやって行くの？
関係者じゃなきゃ入れないとこでしょ？
スタッフさんに言わなきゃダメなやつじゃない？


て言うか、スタッフさんに言ったところで
本当に入れてもらえるの？




ライブハウスに入る時、
ゲストパスを貰ってはいるけど・・・




こんな地味めの何の特徴もないような普通の、
ううん、もしかしたら普通以下とも思えるような私が


あんなに華やかなキラキラとした世界の洋平さんと
関係者だなんて信じてもらえないかもしれない。




だって、周りのライブを見に来ていた女の子たちの方がよっぽど・・・。




すごく楽しそうな顔をしてて、
すごくいい笑顔で笑ってて、
心の底から楽しそうに眩しい笑顔を見せていて、


彼女たちの方が
よっぽど洋平さんの世界に近い気がした・・・。




洋平さんに出会えて、少し自分が変われて、
昔の自分とは違くなれたような気がしていたけど
やっぱりそう簡単には変われないんだ・・・。




そう思ったら昨日も感じた同じ恐怖が、
また私を襲ってきた。




全てが怖かった。




周りの女の子に劣っている自分も、
スタッフさんに通してもらえないかもしれないという
自分自身への自信の無さも、


今、洋平さんに会って、ライブ中に感じた距離感を
またもう一度、今度は間近でリアルに感じなくちゃいけないことも。




生きている世界が違うということを思い知らされて、
そうして自分が傷付くことが一番怖くて。




・・・会いになんて行けないよ。




スマホに触れる指が
ほんの少しだけ震えてる気がする。




『ごめんなさい。もう帰っちゃいました』




ライブ会場の中で、
洋平さんがまだすぐ近くにいるこの場所で、
私は信じられないくらい最低な嘘を吐いた。





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