She’s Berry：2nd

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ライブが始まると、場内が暗転して
オープニングSEが鳴り響く。




期待に胸を膨らませているお客さんが
ぐぐっとステージ前方に詰まっていって、


その場に立ち尽くしていた私の周りには
誰もいなくなった。




ギターを掻き鳴らしながら歌う洋平さんの姿は
本当にかっこよくて。




ライブ映像ならデザインの仕事をする時に何度も見たはずなのに、
実際にライブを観て体で感じるのとでは大違いだった。
それがライブハウスともなれば尚更だった。




鳴り響く轟音。
振動までもが体に伝わってきそうな音色。
会場内の茹だるような熱気。




周りに人がいない状態の私でも暑いと感じるのに、
人集りになってる前方や
ステージでライトを浴びている洋平さんたちは
いったいどれ程の暑さなんだろう。




歌い始めると洋平さんはすぐに汗だくになって、
曲に合わせて頭を振るたびに
その汗が濡れた髪の先端から飛び散っていく。


汗ですら美しく見えてしまうのが
なんだか不思議で。




迫力も、洋平さんのかっこ良さも、
映像で観るのとは比べ物にならないくらい
本当に大違いだった。




ライブが終盤に差し掛かると
激しめのナンバーが次々と演奏されて、


暴れ足りないんだろ？とでも言うように
客席を煽っていく。




最後の数曲は怒涛のように畳みかけてきて、
圧巻という言葉がぴったりで、


心の中でなんども、凄い！凄い！凄い！って思って、
ステージから目を離せなかった。




だけどそう思うと同時に、
なんて遠い人なんだろうとも思った。




曲の合間のMCで口を開けば、いつもと変わらない
私の知っている洋平さんがいたような気がしたけれど
目の前のステージと客席の間には明らかな境界線がある。




もし仕事だけの関係で終われていたとしたら、
ただのファンとしてこのステージを見ていたとしたら、
こんなことは思わなかったかもしれない。




光輝く世界に立つ人と、
その光に照らされる側の人。




ふたりの違いを
まざまざと見せつけられた気がした。




ライブの凄さに歓喜して踊る心と、
洋平さんの遠さに悲哀を感じる心と、


ふたつの正反対の感情が反発しあって、
私の心の中は張り裂けそうだった。




なんでこんなにすごい人が
私を選んでくれただなんて思えたんだろう。




勘違いも甚だしいとは、
まさしくこのことだ・・・。





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