+ ページ10
*yoohei side
「ちょっと待ってて、タオル取ってくる。
取りあえず足拭いて、あ、洗面所こっち」
部屋に着いて、まずは車に跳ね上げられた水で
びしょ濡れてしまった着替えから。
コートを着てたし大丈夫かな？と思ったけど、
一応 上の着替えも用意した。
「良かったらお風呂も入る？」
「いえ！さすがにそこまでは！」
「そう？じゃあ、これ着替え。
乾燥機にかけてる間、着ておいて」
俺は彼女が着替えている間に
コーヒーを淹れる準備をした。
「あの、すみません。
服までお借りしちゃって・・・」
「気にしないで。
あ、一応ちゃんと洗ってあるからね」
「すごくいい匂いがします。さすが川上さん・・・」
「いや、“さすが” ってよく分かんないけど笑」
俺が普段使っている部屋着に着替えた彼女は
リビングに来ると少しキョロキョロとしていた。
こういうところに住んでるんだー、とか
思ってるんだろうか？
「適当に座ってて。今コーヒー淹れてるから」
「そんな、あの、お構いなく」
口ではそう言ってるものの、
彼女はちょっとそわそわしてる。
「ああ、本だよね。見る？」
「はいっ、見たいです！」
素直な反応が、
おもちゃを待ってる子供みたいで可愛くて。
淹れたコーヒーと共に、
どっしりと重量感のある本を渡した。
「俺、ついでに風呂入っちゃうから、
服乾くまでゆっくり読んでて」
「はいっ、ありがとうございます！」
そう言って、風呂に向かう前
分厚い本を手にしている彼女の顔を
ちらりと盗み見る。
本を見つめるその瞳は、
憧れの物を手にしている瞳の色がきらきらと輝いて
本の表紙を手のひらでゆっくりとなぞる姿は
愛しいものを愛でている様だった。
その態度から本当に読みたかったんだなって思えて
その表情に満足した俺は、ふっと笑みを漏らすと
風呂場へ向かった。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
叢雲(プロフ) - かのんさん» 返信が届いていなかったようなので先程再チャレンジしてみました！ (2021年5月31日 20時) (
レス) id: 1b9e74f105 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - そうだったんですか？こちらも受信履歴にはないですね。まだ続きがある楽しみを幸せに待ってます！ (2021年5月31日 0時) (レス) id: 81bb9ddb3c (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - かのんさん» 私もメッセージを返信させていただいたんですが送信箱に履歴が無くて...、返信は届いてますでしょうか？After話はもう少し続く予定ですのでそちらもお楽しみいただければ幸いです(^-^) (2021年5月30日 23時) (レス) id: 1b9e74f105 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - メッセージ送信するも、その後なぜかエラーで開けず。2人のその後も気になってたので&の方で読めて嬉しかったです！必ず読ませていただきます！ (2021年5月30日 1時) (レス) id: 81bb9ddb3c (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - かのんさん» メッセージ送ってくださってありがとうございました(^-^)私も元のふたりに戻せて良かったなーと思っております。またお話を更新した際は読んでいただけると嬉しいです。 (2021年5月29日 23時) (レス) id: 1b9e74f105 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：叢雲
| 作成日時：2021年2月19日 23時
