八 ページ10
「ところでみんな。そろそろ出らんと、映画に間に合わんのじゃないか？」
博士が言うと、三人は「そうだった！」と言わんばかりにガタリと席を立った。
「敦お兄さん、アーサーお兄さん、私たち、そろそろ帰るね！」
「おや、そうですか。」
「映画を観に行くの？ 楽しんでね！」
二人は、気の良い返事をしてひらひらと手を振る。相変わらず、アーサーも敦も見事な好青年ぶりである。
ーーが、コナンにはどうしても引っかかる事があった。それは、明確に言葉にはなっていないながらも、探偵としての本能が「無視してはいけない」と叫ぶような、そんな違和感。
何だ？ 自分は、何に奇妙さを感じているんだ？
「ほら、コナンくんも行きますよ！」
「あー、分かった分かった。」
「哀ちゃんもだよ！」
「ええ、分かってるわ。」
光彦に声をかけられ、考え込んでいたコナンも、渋々ではあるが立ち上がった。灰原は灰原で、歩美に急かされつつ席を立つ。
そこで、彼女と目があった。一つ、ほとんど同時にコクリと頷く。どうやら灰原も、同じように感じているらしい。
彼女の様子からして、二人は例の組織の一員ということは無いようだが、それが二人は安全だという事とイコールにはならない。
「どうしたんだよ、コナン。なんかあんのか？」
「いや、何もねえよ。」
まだ二人に聞きたいことは有るし、違和感の正体も分かっていない。加えて、灰原も同様の違和感を感じている。このまま立ち去るのは、どうにも勿体無いような気がするのだ。彼等からなら、何らかの情報を得られるような気さえするのだから。けれど、ここで下手に問い詰めるわけにはいかない。怪しまれてしまうだろうし、まだここには子供達もいるのだ。
「僕たち、
それは、一種の賭けだった。
「そうだね、西洋簡単食、美味しかったし。ドイルさんはどうです？」
「そうですね、悪くないと思うですよ。“気が向いたら”、また来るです。」
アーサーの返事は、あまり芳しいものでは無かったが、また何かしらの接触を図ることは出来そうだ。その中で、彼等について分かって来るかもしれない。とは言え、仮に彼等が「組織側」だとするとそれはこの上なく厄介だ。
そこまで考えてコナンは、さり気無くアーサーに近づく。そして、「お兄さん、さようなら！」と握手をしつつ、その外套の内側に盗聴器を仕掛けた。
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美園(プロフ) - 今日はじめて見ましたがとても惹き込まれました！ (12月24日 19時) (
レス) id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 大好きな作品です…！ (6月29日 17時) (レス) @page1 id: 7b1be7f011 (このIDを非表示/違反報告)
むる - え！？！？！？！更新なくて残念です泣泣泣めっっっちゃくちゃ気になります………すごく読みやすくて設定も凝っててめちゃめちゃ良かったです。 (2022年8月14日 2時) (レス) id: 6ed738b467 (このIDを非表示/違反報告)
ししゃも(プロフ) - 続きが凄く読みたいです。更新お願いします! (2022年7月27日 8時) (レス) @page43 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
舞琴(プロフ) - めちゃ続きが読みたいですっ！！！！更新待ってます！！！！！！ (2022年4月23日 23時) (レス) id: 6e4f314873 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菫色 | 作成日時：2018年4月29日 20時
