突然の 八 ページ29
「ーーそれで、安室さん。何かあったの？」
目立たないようにそっとパーティー会場を抜け出したーーそれを目敏く見咎めた蘭たちにはトイレだと誤魔化したーーところで、コナンが隣の安室に問う。安室は、それに答えを返す事はない。その代わりとばかりに、青灰色の瞳に鋭さを孕ませてコナンに問いかけた。
「……コナン君。君はあのイギリス人を、知っているのかい？」
「この間、ポアロで会ったんだーーって、なんでアーサーさんがイギリス人だって知ってるの？」
アーサー・コナン・ドイルは、確かに同名の有名英国人作家がいるとは言え、名前そのものは英語圏には良くあるそれだ。英国人だと断定する証拠とまでは成り得ない。
「彼の事は知っているよ。
ーー組織の幹部・バーボンとして、ね。」
「っ！！ それって！」
つまりアーサーは組織の人間だと、そういうことではないのか。
コナンが飲み込んだその言葉を、しかし安室は「そうじゃない。」と否定した。
「彼自身は組織の構成員という訳じゃなくてね、彼は、あくまで『情報屋』という立場の人間なんだよ。」
「情報、屋？」
「ああ。それも、たったの数ヶ月で組織上層部の信頼を勝ち得るほどに凄腕の。」
あれほど巨大な国際的犯罪組織の、そのトップに近い人間たちをして僅か数ヶ月でその実力を認めさせること。それがどれほど大変な事なのか、コナンには想像もつかない。潜入捜査官ながらも組織の中で信頼を得ている安室こそ、その困難さを知っているだろうけれど。
「組織というか、“裏”では最近有名なんだ。あまりの情報収集力に、眉唾ものの噂まで付き纏う始末でね。」
「例えば、どんな？」
安室は、「そうだねえ、」と少し考える。
「相手を一目見て情報を全て盗み取るとか、握手一つで情報を手に入れてしまうとか……。まあ、彼自身の通り名も影響しているのかもしれないねどね。」
「え？」
通り名が影響しているとは、どういう事か。
そんな疑問を抱きつつ、しかしながら、コナンには何となく察しがついていた。彼の名前と、その噂とを合わせれば、答えは自ずと分かるというもので。
「彼の通り名はね、」
一度言葉を切り、そして安室は、言った。
「『
『其れでは、また何処かで会うのを楽しみにしてるですよ。Mr.Sherlock？』
唐突に、機械越しの彼の声が思い出された。
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美園(プロフ) - 今日はじめて見ましたがとても惹き込まれました！ (12月24日 19時) (
レス) id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 大好きな作品です…！ (6月29日 17時) (レス) @page1 id: 7b1be7f011 (このIDを非表示/違反報告)
むる - え！？！？！？！更新なくて残念です泣泣泣めっっっちゃくちゃ気になります………すごく読みやすくて設定も凝っててめちゃめちゃ良かったです。 (2022年8月14日 2時) (レス) id: 6ed738b467 (このIDを非表示/違反報告)
ししゃも(プロフ) - 続きが凄く読みたいです。更新お願いします! (2022年7月27日 8時) (レス) @page43 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
舞琴(プロフ) - めちゃ続きが読みたいですっ！！！！更新待ってます！！！！！！ (2022年4月23日 23時) (レス) id: 6e4f314873 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菫色 | 作成日時：2018年4月29日 20時
