突然の 四 ページ25
「僕はお世話になってるおじさんに連れてきてもらったんだー。敦さんこそ、どうしてここに？」
努めて無邪気な様で問いかければ、目の前の少年はやや狼狽するようだった。
「えっと、その……まあ、色々あってね……」
曖昧に濁そうとする敦に、コナンは「色々って何？」と更に問い詰める。「一寸用事が、」と濁されそうになれば「どんな？」と間髪入れずに返した。
どうやら敦は、こういったやり取りに慣れていないらしい。どことなく、やり辛さを感じる。
「ねえ、敦さん。……もしかして、言えないような理由があるの？」
確信を持って言えば、敦の表情が強張る。当たりだ、と直感的ながら思った。探偵としての経験はそれなりに積んでいるつもりだし、こういった尋問まがいの追及も苦手じゃない。あと、一押し。こちらの勝ちが見えた、どころかそこに手がかかりかけた手応えがあった、その時。
「いや、あのっーー」
「コナン君！」
敦が何かを発するも、聞き覚えのある声に遮られた。
「もう、勝手に離れていっちゃダメでしょう？」
(げっ、蘭！！)
彼女は、手を腰に当てた仁王立ちで、コナンの正面に立つ。
「ごめんなさい。知ってるお兄さんを見つけて、つい……。」
「お兄さん？」
素直に白状すると、蘭は敦の方に目を向けた。コナンの追求を逃れられてかどことなく安心した顔をしていた彼は、突然自分の方を向いた二人に驚いたようだった。
「この間ポアロで仲良くなった、敦お兄さんだよ。」
「中島敦と云います。」
名前を名乗って、ぺこりと頭を下げる。すると蘭は、にこりと笑みを浮かべた。
「私は毛利蘭です。コナン君の保護者みたいなものです。」
蘭につられてか、敦の顔にも笑顔が浮かぶ。矢張り、敦は悪人には見えない。どころか、怪しいとも思えない。先程のコナンの質問は何とか躱そうとしていたのは確かだが、それさえも不慣れな人間のもので、人の良さが滲み出ているような心地すらした。
「あれ、蘭にガキンチョ！ あんたらも来てたの！？」
何となく和やかなムードに入り込んで来たのは、これまた聞き覚えのある声だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1178人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美園(プロフ) - 今日はじめて見ましたがとても惹き込まれました！ (12月24日 19時) (
レス) id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 大好きな作品です…！ (6月29日 17時) (レス) @page1 id: 7b1be7f011 (このIDを非表示/違反報告)
むる - え！？！？！？！更新なくて残念です泣泣泣めっっっちゃくちゃ気になります………すごく読みやすくて設定も凝っててめちゃめちゃ良かったです。 (2022年8月14日 2時) (レス) id: 6ed738b467 (このIDを非表示/違反報告)
ししゃも(プロフ) - 続きが凄く読みたいです。更新お願いします! (2022年7月27日 8時) (レス) @page43 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
舞琴(プロフ) - めちゃ続きが読みたいですっ！！！！更新待ってます！！！！！！ (2022年4月23日 23時) (レス) id: 6e4f314873 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菫色 | 作成日時：2018年4月29日 20時
