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「は?」

思わず零れ出た小さな声は、しかし子供たちの歓声に掻き消された。

「えー! お兄さんの名前、ホームズの作者さんと一緒なんだー!」
「兄ちゃん、すげーな!」
「同姓同名ってやつですかね!」

ーー同姓同名、本当に?
『サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル』、通称『アーサー・コナン・ドイル』は、大伯父の姓を受けて「コナン・ドイル」という複合姓を名乗っている筈だ。ただの偶然による同姓同名とは考えにくい。
が、偽名ならばそれはそれで違和感がある。何せ世界中で名の知れている作家の名。目立ちすぎるに決まっている。

コナンの考えなど知る由も無いだろう青年ーー自称アーサー・コナン・ドイルはというと、子どもたちに対して、驚いたような様子を見せた。

「おや、君たちはあの作品群(シリーズ)を読んだことがあるです? 子どもには難しすぎると思うですが。」
「あの……すみません、ドイルさん。“ほおむず”って何ですか?」

そこで話に入ってきたのは、白い少年。

「そっちの兄ちゃん、ホームズ知らねえのか?」
「ホームズってね、すごい探偵なんだよ!」
「イギリスの作家が書いた推理小説の登場人物なんです!」
「へー、そんな人が……」

誇らしげにティーチングする子どもたちと、それに相槌を打つ彼。なんだか微笑ましい光景だ。

「ーーその作者の名前がドイルさんと同じなんですね。」

納得したように呟く彼に、アーサーが「そう云えば」と目を向けた。

「敦の自己紹介、未だですよ。」

少年は思い出したように「そうでした!」と声を上げ、笑顔を浮かべた。優しげで人好きのするそれに、なんだか安心を覚える。

「僕は、中島敦って云います。よろしくね!」

ーーが、少年の名はこれはこれで有名なものだった。

「英国の推理作家の次は、日本の小説家? なんだか不思議な縁ね。」

そこで言葉を発したのは、意外にも灰原だった。もっとも、彼女は「思わず言葉に出てしまった」という様子であって、自分から意図的に言葉を発した訳では無いようだが。
と、先ほどまでホームズの薀蓄ーー殆どコナンの受け売りなのはこの際置いておくーーを揚々と語っていた子どもたち三人は、不思議な顔をして首を傾げている。「中島敦」という名を聞いたことが無いのか、と疑問に思ったが、よくよく考えればこの歳では知っている方が珍しいだろう。『彼』の作品は、小学生にはやや難解なものだ。

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美園(プロフ) - 今日はじめて見ましたがとても惹き込まれました! (12月24日 19時) (レス) id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 大好きな作品です…! (6月29日 17時) (レス) @page1 id: 7b1be7f011 (このIDを非表示/違反報告)
むる - え!?!?!?!更新なくて残念です泣泣泣めっっっちゃくちゃ気になります………すごく読みやすくて設定も凝っててめちゃめちゃ良かったです。 (2022年8月14日 2時) (レス) id: 6ed738b467 (このIDを非表示/違反報告)
ししゃも(プロフ) - 続きが凄く読みたいです。更新お願いします! (2022年7月27日 8時) (レス) @page43 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
舞琴(プロフ) - めちゃ続きが読みたいですっ!!!!更新待ってます!!!!!! (2022年4月23日 23時) (レス) id: 6e4f314873 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菫色 | 作成日時:2018年4月29日 20時

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