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突然の 六 ページ27

ちょうど反対の壁際に居た小五郎は、何やら高級そうなスーツを纏った男たちに取り囲まれて笑っている。総髪とちょび髭、周りに比べて光沢の少ないスーツのせいか、妙に目立っている。

「おじさん、人気なんだね。」

得意げな小五郎を囲う男たちは、きっと彼を褒め称えているのだろう。
呟くように言ったコナンに対し、園子は妙に冷めたような視線を向けた。

「まあこの世界の人間にとって、有名探偵とのコネなんて手が出るほど欲しいモンだからね。」
「そうなの?」

純粋に問い返す蘭に、園子はあからさまに「まずった、」とでも言いたげな表情を見せた。

「あー……本当は、こういうこと蘭に話したくないんだけどね……」

園子が言うには。事業を成功させたり、大会社の重役を担ったりと言った人間は、その事業・会社や当人の性格の良し悪しに関わらず、色んなところから怨恨を買うらしい。そしてそのため、刑事事件に巻き込まれ、容疑をかけられる可能性が一般の人間よりも相当に高いのだとか。

「そういう時に、有名な探偵と知り合いってだけで容疑者から外れることって結構良くあるのよね。大概の探偵は警察に顔が効くし。それにおじ様の場合は元刑事っていう肩書きまで付いてくるんだもの。」
「手厳しいですな、園子嬢。」
「私、ああいう保身にしか走らない大人って嫌いなのよね。」

そう言い捨てつつグラスを傾ける園子は、コナンがよく知る「園子」ではなく、鈴木財閥令嬢の面持ちだった。

「まあ、今まではあんまり気にしてかったんだけど。最近じゃ事あるごとにおじ様の話を振られるもんだからさ、いい加減うざったくって。」

そう言って、園子はコナンの方を向いた。

「ガキンチョ、あんたも探偵志望なんでしょ? あんたのそのよく回る頭なら将来はおじ様みたいな有名探偵になるんだろうけど、ああいう汚い大人には気をつけなさいよ。」

コナンもそういう“探偵”と“依頼人”の繋がりの危うさには感づいて居た。自分は、探偵の仕事は真実を明らかにする事だと躊躇なく言い切れるし、例え犯人が依頼人であってもその罪を突きつける。依頼人だからと言って容疑者から外すなど以ての外だ。それは同時に、自分の推理力にそれだけの自負があるということで。

「……うん。」
「あ、安室さんもよ! 」

園子の声に驚いて後ろを向けば、いつの間にやら、先程別れた安室が居た。手に持つ盆にはいくつかシャンパングラスを載せている。

「勿論、肝に銘じておきますよ。」

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美園(プロフ) - 今日はじめて見ましたがとても惹き込まれました! (12月24日 19時) (レス) id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 大好きな作品です…! (6月29日 17時) (レス) @page1 id: 7b1be7f011 (このIDを非表示/違反報告)
むる - え!?!?!?!更新なくて残念です泣泣泣めっっっちゃくちゃ気になります………すごく読みやすくて設定も凝っててめちゃめちゃ良かったです。 (2022年8月14日 2時) (レス) id: 6ed738b467 (このIDを非表示/違反報告)
ししゃも(プロフ) - 続きが凄く読みたいです。更新お願いします! (2022年7月27日 8時) (レス) @page43 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
舞琴(プロフ) - めちゃ続きが読みたいですっ!!!!更新待ってます!!!!!! (2022年4月23日 23時) (レス) id: 6e4f314873 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菫色 | 作成日時:2018年4月29日 20時

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