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第5話ー18 ページ44

「さてと、いっちょ行きますか。」

次の日、私は凛花さんの仕事場へ急いだ。

片野坂教官には心の中で謝っておく。

今日は、凛花さんに会いにきたわけではなく、写真に写っていたもう1人の男に用がある。

倉庫に入ると、凛花さんの仕事仲間が話しているのが耳に入った。

「これから凛花さんちでいいんだよな?」

「ああ、予定通りで。」

何か新しい仕事だろうかと足を止め、すぐ側の木材の陰に隠れる。

「ほんと信じらんないよな、今更畳むとか。」

「自分の身分わかって言ってんのかって感じ。
あんな母親、生まれてくるガキが苦だろ。」

「まあ、裏切り者にはそれなりの罰が必要だよね。」


黒い服を着た男が笑うと、周りの男たちも大声で笑う。凛花さんを襲う算段を立てているだと理解した。

今日は作業着、今まで幾度となく被った狐のお面をつけて、男たちの視界に入るように歩く。


「誰だ!!」

一斉に男たちが臨戦態勢をとった。

『お久しぶりですね、白木。』

いつもとはワントーン低い声をかければ、黒い服の男…白木は首を傾げた。

「あれ…もしかしてコウさん…?」

『はい。紛れもなく紅六花、本人ですよ。』

父の死後、高校生の身分で情報屋をしていた頃の名前を告げると、嬉しそうに近づいてきた。

『まだ、こんなことしてるんですか?』

「何言ってんの!?パーッと稼げるもの見つけたんだよ!オイシイ仕事じゃん!」

『これが…オイシイ仕事…ですか。先程の会話から察するに、女性の家を襲うつもりですね?』

「そうだよ。今まで散々いろんなことやってきたのに、今更、突然辞めるとかいいだすから…。」

『…あなた達、下衆以下ですね。』

だいぶ低音になってしまった言葉に、白木は明らかに態度を変えた。

「なんでだよ、いつもなら褒めてくれるじゃんか!良く探しましたねって!」

その様子は、駄々をこねる赤子だった。

『私はもう足を洗いましたから。』

「はあ?ふざけないで下さいよ!コウさん!

あんたがそういうなら…やっちまえ!」

『すぐに力で訴えようとするのは頂けないと何度も言ったでしょうに…。』

襲ってくる男たちを鳩尾や喉元を狙って倒していく。男たちはバットや木刀と言った凶器を持ち出し始めた。

『この後、仕事が控えているので失礼します。』

そう言って、邪魔な数人を倒した私は倉庫から逃げ出した。後ろで男たちのうめき声や怒号が聞こえる。

それらに知らないフリして、凛花さんの家へと急いだ。

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おむらいす(プロフ) - どんな質問でしょうか (2021年3月27日 23時) (レス) id: 75ace3dbad (このIDを非表示/違反報告)
レム - 聞いても大丈夫でしょうか? (2021年3月25日 18時) (レス) id: 59a18b3b65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無名 | 作成日時:2020年8月14日 18時

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