168.世界がたとえ暗闇に紛れてしまったとしても ページ5
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バクバクバクバクバクバク。
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バカみたいに心臓が破裂する。
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琴海ちゃんが悪いわけじゃない。
なのに、なんでカズがって黒い感情が私の全身を包み込みながら
どうか無事で、お願いと唇を噛みしめる。
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ずっとわんわん泣く琴海ちゃん。
それを宥める潤くん。
琴海ちゃんの話によると、カズの体からは赤い血は一滴も出ていなかったらしい。
…それが一番怖い。
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何も出てないのに、意識がないんだよ。
それってもう怖いじゃない。目立った外傷がないって言うんなら酷い結末だってあるわけじゃない。
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ぎゅ、と目を思い切り閉じて
胃酸の味がする口の中をどうにか落ち着かせる。
うっ、ってなった時。
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がら、と目の前の扉が開いて。
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和也「…何してんの？」
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目を丸くした、カズが私たちを一瞥して、は？って顔をした。
カズの左手にはギプス。綺麗な肌、ほっぺにはガーゼがつけられている。
ついでに言うんなら、右手の甲には絆創膏。
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琴海「かっ…ずなりさん！大丈夫なんですか！？」
和也「まあね。俺最強かもしんないわ」
潤「……かず」
和也「何泣きそうな顔してんのよ(笑)、せっかくのイケメンが台無し」
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くくく、と笑うカズの口から告げられる。
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どうやら琴海ちゃんを庇って、飛び出してトラックの運転手さんが慌ててハンドルを切り
なんだんかんだで打ち所は全くなく。飛び出して転んだ時に頬を抉ってしまったのと
左腕を骨折してしまったのと、右手の甲に擦り傷を作ってしまった程度で済んだらしい。
カズが庇ったから、琴海ちゃんは膝の擦り傷だけで済んだ。
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潤くんと琴海ちゃんに囲まれて笑うカズを見て
涙が止まらなくて、世界がぼやける。
震えも止まらなくてガクガクと足が小刻みに震える。
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あぁ、もう無理…。って目蓋を閉じたとき。
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風が吹いた。
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和也「…なんでお前が一番泣いてんだよ(笑)」
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むぎゅ、と鼻を誰かにつままれる感覚。
息が吸えなくなってびっくりして。
パッ！と目を開ければ
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和也「バカ」
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あなたがいた。
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