186.洒落たエスコートで ページ23
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智さんに指定されたお店はそんなに食に詳しくない私でも知っているような
色んなテレビや雑誌やらに取り上げられていた
外観が煌めいている、ドレスコードがあるんじゃないの？って雰囲気だった。
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仕事終わりのただの会社員がふらっと立ち寄れるような場所じゃなくて、自分の格好とお財布の中身と睨めっこして
一番安いの、食べよう。
うんうんと頷いて重たい金属のドアを開けた午後七時。
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その人は
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智「Aちゃん」
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思わず目を疑ってしまうような立ち振る舞いで私をエスコートしに来た。
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螺旋階段を降りてお店に入れば、そこは一面水槽が窓のように張りつめられていて
まるで水族館にいるような感覚に陥る店内。
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お店の人にご予約の方ですか、と尋ねられた矢先カツン…と革靴の音。
何気なくその音に反応して、足元に向けていた目線を上に上げると
そこには白いTシャツ、髪の毛はボサボサのダメージジーンズなのか、はたまたただ穴が空いただけなのかよくわからないジーンズを履いている…
智さん、なんかじゃなくて
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智「俺の連れだよ」
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ふわっと美容院に行った？ってぐらいの見事な髪の毛のセット。
黒いジャケットに、黒いパンツ。白いTシャツには変わりないけど見るからに生地が違う。
いわゆる、お高いヤツ。
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いつもと180度違う、いや最早別人なんじゃない？レベルに見間違う智さんが
俺の連れだよと私の手を取ればお店の方は失礼しました、と頭を下げてバックヤードへと消えて行く。
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え…、智さんってナニモノ…。
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頭上にクエスチョンマークが浮き彫りになったまんま
何が何だかよく理解していないまま
智さんの大きなアーティスティックな手にエスコートされて水槽と水槽の間を優雅に歩いて行く。
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まるで幻想的な世界。
水族館とはまた一味違う空間。お洒落な計算し尽くされているライトが魚たちを揺蕩わせる。
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やがて席に着いたのか、するりと離れて行った手に反応して視線を水槽から前に向けると
そこはVIP席と讃えられているような場所でひっと声が出る。
そんな私を御構い無しで慣れた様子で椅子を引き、座るように促す。
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もう、なに？
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