185.CALL ME ページ22
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「嘘でしょ…」
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正午。
トモちゃんと真理にランチに誘われて、いくいく！ってカバンから財布を取り出そうとしたら
主張が誰より強い、それは
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「…ごめん、私やっぱりランチ行かない」
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私を一人にさせた。
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カバンを手にして、あんまり人がいない外に出て
ひとり。ベンチに座ってそれをそっ…と取り出す。
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それは
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「…お弁当なんていつ入れたの」
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明らかにカズが作って、入れてくれたであろうお弁当箱。
お弁当箱は去年、よくわからない自炊ブームに陥った時数回活躍して
そのまま永遠の眠りについたかと思われたもので
食器たちと一緒に並べておいた。
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お弁当箱だなんてタチが悪い。
恐る恐る震える手でお弁当箱を広げると
びっくりするぐらいの出来栄えが視界いっぱい。タコさんウインナーなんて高校生ぶりに見た。
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「…なんなの」
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こんなに優しくされたら、こんなサプライズされたら
まだまだ問題は山積みなのに、もっと好きが積もってく。
胸がきゅ、って締め付けられる。
お弁当を食べるのがもったいない。
食べたくない。
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青空がどこまでも続く下、
誰にもバレないようにお弁当の写真を撮ってから箸を持ち
そっと…手を合わせていただきます、とひっそり言葉にした。
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味はよくわかんないぐらい美味しくて
卵焼きはしょっぱくて
甘い卵焼きが食べれない私のことを知って作ってくれたのか、はたまた偶然なのか。
どちらにしたって好きになるのには変わりがない。
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もぐもぐ。何度も何度も咀嚼を繰り返して
ごっくん。名残惜しく体に取り込む。
そんな作業を黙々と繰り返していると
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不意に電話が鳴る。
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はいはい、って膝の上に置いておいたお弁当箱を横に置いてその上に箸をのせる。
慌ててスマホを手にとって、横にスライドして
もしもしと耳に当てる。
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「…今日の夜？」
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智『うん。いいかな』
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卵焼きはしょっぱかった。
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