181.インザルーム ページ18
.
.
ギシ、とベッドのスプリングが重く軋んだ。
.
.
「ちょっと…待って…」
和也「待てない」
.
.
薄暗闇の中、見慣れたベッドの上
私を押し倒しているのは紛れもなくカズ。
厄介になる、そう言われて何を言ってるんだと呆れて一日だけ泊めることにしたのに
まさかその一日でこんな過ち、起きるなんて。
.
頬をするり、と撫であげて
重そうな長い前髪がカズの目にかかって、無意識にその髪に見惚れていると
それに気づいたのかふっ、と鼻で笑われてなんだか恥ずかしい。
.
.
和也「…好きだよ」
.
.
カズが着てたパーカーを脱ぎ捨てる。
そしてもう一度、スプリングがギシ…と軋み
唇がそっ…と近づいてくるーーーーーー…。
.
.
.
.
「…うわぁぁぁ！？」
.
.
ギシ、とベッドのスプリングが軋んだ。
それは何故か。答えは簡単。
.
.
「…ゆ、…夢……」
.
.
いわゆる、よくある「夢オチ」。
思い切り飛び跳ねるように起き上がると、ベッドはギシと軋んで窓の外は朝の青空が広がって。
夢の中で綺麗に巻かれていた髪の毛は、なかなかのボサボサ加減。
.
なんちゅー夢を見たんだ、私は。
.
.
「…さいあく…」
.
.
無意識に出た「さいあく」は
あんな夢を見てしまった自分が情けなくて「さいあく」なのか、
現実じゃなくて「さいあく」なのか
.
答えは歴然だ。
.
.
和也「おはよう」
「……」
.
.
そんなモヤモヤを抱えたまま寝室を出て、手櫛で髪の毛を整えながら
いつも通りリビングに向かって、むざましテレビを見ようとガチャリと扉を開けば
朝ごはんをキッチンで作ってる白いTシャツを着てるカズが確かにいて
バタンと静かに扉を閉める。
.
.
「まだ夢の続き見てんの…？」
.
起きろ！えい！起きろ！ってパチン！と両手で頬を叩いて深呼吸。
肩の力を抜いて、もう一度扉を開くと
.
.
和也「なにしてんの、お前」
「ひっ」
.
.
扉の前で今度はお皿を持って
私のことを見下ろしている、カズがいた。
.
.
182.スペシャル・モーニング→←180.言葉巧みに誘導されて
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4927人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
