177.in the box ページ14
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大人の男女がどちらかの自宅に
そして夜更けに行く。なんて
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そんなの、間違いしか起きないじゃない。
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和也「5階だっけ？」
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カズが前髪を目の真上に垂らして、問う。
そうだよ、よく知ってるね。と皮肉めいた言葉をかければ
誰かさんが前に風邪引いた時看病しに来たからじゃない？とまたその上を行く皮肉を言われたから
バツが悪くなって肩を縮めた。
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エレベーターと言う名の箱が上に動き出す。
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カズはボタンの前に立っていて、私は一番奥に背中を預けてる状態。
つまり私からはカズは見えるけど、あっちからは私の姿は振り向かなきゃ見えないと言うことになる。
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その時に見える、左腕に巻かれてる白いギプス。
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(…あぁ、そっか。あれじゃ…)
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あの腕じゃ何もできない、とちょっと思った自分。
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(…ってバカ！何考えてんの！)
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ぶんぶん、と頭をまるでお風呂上がりの犬のように振って残念な考えをしてしまった自分の愚かさとサヨウナラする。
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…でも。
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そういう目的じゃないのなら、なんでカズは私の家になんか来てるんだろう？
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和也「あ、着いた」
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ちーん、という到着音が鳴ってエレベーターの扉がゆっくり開く。
カズは私が降りるのをボタンの《開》を押しながら待っていてくれて
なんだかんだで紳士的な部分、あるんだよなぁなんて思って見慣れた扉の前まで歩く。
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扉の前。
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カバンに手を入れて、ジャラ…という鍵の音が聞こえる。この鍵を使えば目の前の扉は開く。
でも…ここまで来といてなんだけど
なんでカズは私の家に来てるんだろう。
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和也「早く開けてよ。若干寒いんですけど」
「…なんでウチに来たの？」
和也「…」
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まるでーーー…潤くんから。
逃げるように去ったあの瞬間。
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何かあったのかと聞きたかったけれど、それを聞いてしまったらなんだか終わってしまう気がして
私は何も言えず、手を握られているという既成事実だけでここまでやって来たけれど
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今。
ここで彼を家に入れてしまったら世界が変わってしまうような気がしてる。
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