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そして赤ちゃんを連れて与えられた部屋に行き、私はベッドに身体を預けた。
『…零さんから、着信は無し……か。』
スマホで着信履歴を遡り、私はまた溜め息を吐いた。
ただ他の人からは沢山メールやLINEが来ており、私は一つ一つに返信する。
取り敢えず無事なこと、それから予知能力が失くなったことを報告しておく。
皆すぐに返信が来て、その1つにミツキからの資料が添付されていた。
その内容はキュラソーやノックの三人に関してだ。
結論から言えば、キュラソーはこのまま裏で組織壊滅に向けて協力を約束してくれた。
ノック三人は各自母国へ帰り、今後の対策を兼ねてこのまま死んだ事にしておくそう。
『…取り敢えず、これで回避出来た。』
そう呟いたが、胸奥にはモヤモヤとした霧は晴れないまま。
誤魔化すように窓際へ歩み寄り、ソッと窓枠に腰掛けた。
流石は芸術の国、夜景も豪華でありつつゴテゴテとした印象はない。
私はほんの少し身体を預け、膝を抱えた。
『……。』
ひんやり冷たい外気が窓の隙間から入り込み、一瞬息を詰めた。
『
どうせ届きもしない募る想いを苦しげに吐き出し、いつぞやの様に窓越しに輝く月に手を伸ばした。
零さん、貴方が隣に居ないとやっぱり月は怖いね。
思わず自嘲の笑みが浮かぶ。
…今更そんな簡単な事に気が付いて、我ながら滑稽だ。
すると唐突に部屋のドアが数回ノックされた。
次「もう寝てるか?」
『起きてますよ〜。どうされました?』
返事をするとドアが開けられ、隙間から顔を覗かせたのは次元さんだった。
『意外ですね、次元さんがこんな時間に
次「ケッ。乳クセェませガキが生意気言うな。」
『あ〜ら残念、フラれちゃった。』
からかい交じりに軽口を叩くと次元さんが小さめの酒瓶を見せてきた。
次「ルパンの野郎が女の所に行きやがってよ。ちょいとオジサンの晩酌に付き合わねぇか?」
『…またルパンさんは……。まぁ私も寝れてなかったし、良いですよ。』
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四條暁(プロフ) - ピーナッツバタークリームさん» こちらにまでコメントありがとうございます!!今はまだ更新停止中ですが、ホスト部の方が落ち着き次第また書きますね!(*`・ω・)ゞ (2022年3月16日 0時) (レス) id: 4bcf0e63da (このIDを非表示/違反報告)
ピーナッツバタークリーム - お久しぶりです。最新話まで読み終わりました。とても惹き込まれる話でヒロインと降谷零さんの今後が気になりっぱなしです(´・¿?・`)キニナル更新待ってます(●´ω`●) (2022年3月15日 23時) (レス) @page17 id: ea89bfb102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四條暁 | 作成日時:2021年1月19日 19時