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◇すれ違う、君の背中を◇ ページ36

『……最っ低。』

零「それはどっちだ。今更俺の気持ちを疑って、自分から傷付きに来てるヤツが。」


私は怒鳴りたい衝動を抑え、グッと押し黙った。

ただその時、ズキリと痛んだ。

それは力を使いすぎた時の頭痛より遥かに痛くて、内側から金切り声を上げる。


……(そこ)が軋んだ気がした。


ーー…違う、こんな事したかったワケじゃない。

多少行き違いがあったけど、零さんと帰ってまた一緒に居たかっただけなのに。

なんで、言い争ってんだろう。



零さんが私を本気で心配して怒ってるのも知ってるのに、

零さんが大切な人を失うのを何よりも嫌うのを知ってるのに、



もうどうしたら良いのか解らず、茫然としてると何故か頬が濡れている事に気が付いた。

それが涙だと気付き、意味も解らず何故か笑えた。


「少佐!こちらに居られましたか!」


その時、不意に誰かが私の肩を軽く叩いた。

振り返るとそこにはイージスの隊服を着た部下が息を切らして私を見つめている。
 
ただ彼が纏う空気は違和感があり、すぐに誰か解ると私は溜め息を吐いた。


『…タイミングが悪すぎます。』

「いやぁ〜申し訳ない!これから少佐に手伝ってほしい(・・・・・・・)事がありまして。」

『……そうでしたね。じゃ、行きますか。』


もう何もかも疲れた。

何より今すぐここから立ち去りたい、その気持ちが私を駆り立てた。


『キュラソー、あと少しで迎えの人が来るから。そこまで一緒に行こう。』

「え、えぇ。」


戸惑う彼女の手を握り、誰にも聞き取れない程小さく呟いた。


『……だから無理に理解なんてしてほしくないんだよ。“あの時”と一緒。』


それは簡単に私を離さず、いつも影を落とす鬱陶しいモノ。

甦りそうになった傷口を“理性”と名ばかりの糸で縫ってはその場しのぎの治療を繰り返す。


コ「…A、さん。」

『別にムリに慰めなくて良い。』


戸惑い言葉を淀ませた江戸川を跳ね除け、私は零さんに背中を向けた。


零「A!」

『…さよなら。』







その夜、私は騒然とする米花町から消えた。

ただ誰にも理解されないであろう悲しみを背負い、

ただ救いたいと祈った彼を思い浮かべて。






〜純黒の悪夢編 完〜

作者から、読んで頂いた貴方へ→←◇その代償は爪痕が残る◇



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設定タグ:名探偵コナン , 純黒の悪夢 , 安室透/降谷零   
作品ジャンル:恋愛
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四條暁(プロフ) - 明けましておめでとうございます!!今年も皆様にとって実り多い年になる事をお祈りいたします!これからも宜しくお願い致します!!m(_ _)m (2021年1月1日 1時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
四條暁(プロフ) - 【3R】の正体、皆さんは分かりますか?(お気に入り登録49人突破!登録して下さった方、読んで下さってる方に感謝です(*´▽`*)) (2020年12月27日 18時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年12月20日 4時

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