◇その代償は爪痕が残る◇ ページ35
零「俺はもう!大事な人間が死ぬ所を見るのはうんざりなんだ!それが惚れた女なら尚更だろう!」
その怖いくらい真剣な空色の瞳に射貫かれ、息を止めた。
零「一言で諦めれる?そんな事出来たら最初からじゃじゃ馬なお前を年甲斐も無く必死に囲うワケないだろう!」
『ッなら最期まで巻き込めよ!アタシが簡単に引き下がるとでも思ってんのか!』
零「それが嫌だったんだよ!俺のせいでお前を死なせる事はしたくない!」
『アタシだってアンタらの死に姿を予知夢で見て焦ったんだよ!それとも何?「予知夢でアンタらが死ぬ所見たから今回も参加する」とか言ったら良かった!?』
そう言った瞬間「しまった」と思った。
…と言うのも、これは秀さんにすら打ち明けてなかった事だからだ。
【有るべき運命】に関わる人間にこれから起こる事を話してしまえば自ずと運命は変化していく。
それこそ、私にすら予測出来ない事態にも起こり得る。
だから秀さんと手を組んだ時には「組織がノック三人を殺す。」としか伝えてなかった。
赤「A、それは本当か?」
だから、今、私は感情に任せた自分をひどく責めた。
『…ッべ、別に理解されたいとか望んでない。』
こんな事を言ってしまえば、流石のこの三人でも私を嫌う。
そりゃそうだ、自分の死に目を予測して陰ながら戦ってました、なんて恩着せがましいにも程がある。
それでも、引っ込みのつかない言葉達は私の総動員させた理性を上回っていく。
『私だって本当ならこんな事、言いたくもなかった。』
零「……A。」
『正直に言ったら?人の死に目を見ても平気な顔してるのが気持ち悪いって。』
零「…A。」
『言われ慣れてるし、い、今更傷付いたりしないし。』
嘘ばっかり。
膝も手も震えてるクセに。
自分から嫌われにいってる、そう客観的に見て失笑した。
あぁ、こんな自分が嫌いだ。
『それでも!大切な人をみすみす見殺しになんて出来ないんだよッ!いくら気持ち悪がられても!』
零「A!」
『ッ!!』
零さんの声にそれまで並べてた御託は止まり、いつの間にか私の唇は彼に塞がれていた。
『ふっ……れぃさっ……んんっ……。』
いつもより性急に舌を絡まれ、飲み溢した銀の糸の成れ損ないが口の端を伝った。
いつも感じる甘さは無く、言外に零さんが「もう黙れ」と言ってるのが伝わって私は思わず彼を突き飛ばした。
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四條暁(プロフ) - 明けましておめでとうございます!!今年も皆様にとって実り多い年になる事をお祈りいたします!これからも宜しくお願い致します!!m(_ _)m (2021年1月1日 1時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
四條暁(プロフ) - 【3R】の正体、皆さんは分かりますか?(お気に入り登録49人突破!登録して下さった方、読んで下さってる方に感謝です(*´▽`*)) (2020年12月27日 18時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年12月20日 4時