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悪夢に立ち向かうソレを ページ30

崩壊した観覧車は巨大な凶器へ変わり、園内には混乱と恐怖の声で溢れていた。

……焦るな、彼女なら必ずここに来る。


そう胸奥で唱えていると、遠くから「誰?」と警戒の色が強い声がした。

安堵の息を吐き、私は笑みを浮かべる。


『キュラソー、頼みがある。』

「…A?どうしてここに。」

『アンタがこれからしようとしてるのは理解してる。だからこそ、アンタの協力が必要なんだ。』


月明かりに照らされた彼女は濡れており、所々怪我もしていた。


『そのクレーン車で私を観覧車が転がる軌道の先へ連れていってほしい。』


私の言葉にキュラソーの瞳は見開かれ、彼女は一言「ダメよ。私がやるわ。」と首を横に振った。


「危険過ぎる。私が観覧車を止めるから、貴女は早くここから…。」

『……ふざけんなよ。』


私の横を通り過ぎようとしたキュラソーの腕を掴み、思わず低い声が出た。


『もうここに居る時点で危険もクソもねぇよ!いいから黙って私を連れていけ!!』


『もう誰かが死ぬとか、うんざりなんだよ!!』


私の怒鳴り声にキュラソーは言葉を失い、躊躇しつつも「……分かったわ。」と一言呟いた。


「…貴女ともっと早く出逢えてたら、私も変われたかしら。」

『今から時間をかけて変わっていけば良い。アイツらと一緒に。』


あくまでも犠牲にはさせないと言外に告げ、私達はクレーン車へ乗り込んだ。


「舌を噛まないようにして!」

『了解!!』


私が下ろされたフックへ飛び乗ると、クレーン車は猛スピードで観覧車へ向かっていく。

観覧車は坂を下り、更に加速していった。


周囲には土煙が立ち込み、観覧車の通った軌道は瓦礫と化している。

それはあの夜に見た光景と似ていた。


『……私は救世主なんかじゃない。』


完全に防げたら、なんてバカげた事を思い浮かべてそう呟く。

例え誰にも望まれず、理解されなくても良い。

私は、私の信じた道へ進むだけだ。



……ふと、リースリングを助けた後“彼”に言われた言葉が反芻した。




ーー御神楽ちゃんはヒーローでも神様でもないんだよねぇ〜。



草臥(くたび)れた煙草を咥えて言われた言葉は、もしかしたら慰めや労りのつもりだったのかもしれない。

真意は読めないけど、私は小さく笑った。

神様なんかになれなくても→←悪夢を抗う為に



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設定タグ:名探偵コナン , 純黒の悪夢 , 安室透/降谷零   
作品ジャンル:恋愛
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四條暁(プロフ) - 明けましておめでとうございます!!今年も皆様にとって実り多い年になる事をお祈りいたします!これからも宜しくお願い致します!!m(_ _)m (2021年1月1日 1時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
四條暁(プロフ) - 【3R】の正体、皆さんは分かりますか?(お気に入り登録49人突破!登録して下さった方、読んで下さってる方に感謝です(*´▽`*)) (2020年12月27日 18時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年12月20日 4時

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