優しい貴女に光あれ ページ26
呆気なく鉄板は抜け落ち、出来た隙間に入り込むとそこには倒れた風見さんと彼女が居た。
突然鉄板が外れた事、そして見慣れない服装で乗り込んできた私に驚きを隠せず彼女は目を丸くする。
「あ、貴女は…。」
『初めまして、キュラソー。私は国防軍イージス所属、御神楽A。』
軍人らしく敬礼して自己紹介すると彼女、キュラソーは明らかに警戒と戸惑いの色を強める。
「…国防軍が私に何の用?もしかして、これもジンの策略?」
『なワケないだろ。大体、あのクソ銀髪と同類にしないでよ胸糞悪い。』
「なら何?貴女の目的は。」
場合によっては始末する、そう言外に告げられる。
『私の目的はただ1つ。キュラソー、アンタを組織から助ける為だよ。』
「……私を?何故貴女が?」
『運命に逆らうのに、理由なんて要らないでしょ?』
私の言葉にキュラソーは読めないとばかりに顔をしかめる。
『取り敢えずアンタの敵じゃない。敵だったら、昼間のうちに始末してるだろ?』
「…そうね。けど、貴女何をしてるか分かってる?いくら国防軍の人間でも、組織に目を付けられたら殺される。」
『記憶が戻っても優しいのは変わらないんだ。心配してくれるのは嬉しいけど、今は自分の事を優先して。』
キュラソーは「私は貴女にそう評価される人間じゃない」なんて言う。
『優しい人ほど自己評価が低い。ま、世間話はここまでにして逃げるぞ。』
私は一足先に非常口から出てキュラソーに手を差し伸べる。
月明かりに照らされ、キュラソーの銀髪がキラキラ輝く。
『キュラソー、私はアンタがどれだけ苦悩したのか知ってる。言っただろ?私はアンタのこれからに光があるのを願うって。』
観覧車を後にして走る最中、私は隣に続くキュラソーに告げた。
…その時、キュラソーが小さく「ありがとう。」と呟いた声はひどく震えていた。
刹那、遠くで大きな破壊音が聞こえた。
…………大丈夫、風見さんは助ける。
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四條暁(プロフ) - 明けましておめでとうございます!!今年も皆様にとって実り多い年になる事をお祈りいたします!これからも宜しくお願い致します!!m(_ _)m (2021年1月1日 1時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
四條暁(プロフ) - 【3R】の正体、皆さんは分かりますか?(お気に入り登録49人突破!登録して下さった方、読んで下さってる方に感謝です(*´▽`*)) (2020年12月27日 18時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年12月20日 4時