その妻、確信する ページ7
手紙が来て以来、ハリーは手紙を奪われて落ち込んでいたが、次の日にはお互いに顔を見合わせた。
と言うのも、日を追う毎に同じ手紙が何通も何通も狂ったように送られ続けて来たから。
そして何故か、手紙の数だけフクロウが住宅街に集まる始末。
…昨日、あまりの手紙の多さとフクロウの多さでのご近所からのクレームで、叔父さんが郵便受けを釘打ちしていた。
『お前ら柔らかいな〜〜。』
どうやらハリーが言うには、このフクロウ達が手紙を送ってきてるらしい。
キュルキュル、クルルルルと可愛らしく鳴くフクロウを愛でると家の中から悲鳴が3重に聞こえてきた。
一斉にフクロウ達が飛び「早く行け」と急かされるように私も家に駆け込む。
『なんっだこれ…。』
騒ぎの現場であるリビングに行くと大量の手紙が暖炉から飛び出している。
あぁ…あの手紙か。
先ほどの庭の掃除がてら見ていた、玉入れよろしく煙突に手紙を放り込むフクロウ達が脳裏を過る。
ギャーギャー騒ぐダーズリー親子の目を盗み、ハリーが手紙を掴む。
『行け!ハリー!』
私の声にハリーがニヤリと笑い、階段下の物置へ走る。
ハリーの表情はまるで宝物を手にしたよう。
慌ててハリーを追い掛ける叔父さんの足を引っ掛けた。
「このっ……!邪魔だ!」
数歩躓いた叔父さんは忌々しげに私を突き飛ばす。
大人の手加減無しの突飛ばしは11歳の身体を簡単に吹っ飛ばせる。
しかも床に敷き詰められた私達宛の手紙を踏み、不安定な体勢に傾いた身体は壁に体当たりした。
『うっ…!』
痛みで背中が軋み、思わず呻く。
叔父さんはそんな私を構わず廊下へ飛び出す。
それに困惑と恐怖で戦いてる叔母さんとダドリーが続く。
必然的に残された私の目の前に何故か開かれた手紙が舞う。
ひらひらゆっくりと落ちていく。
白地の便箋には青い薔薇8本が描かれている。
便箋…というより、バースデーカードのそれに近いかもしれない。
綺麗な流れるような文字を目で追い、私は直感的に「あのお爺さんからだ」と理解した。
叔父さんに手紙を奪われて抵抗するハリーの声も、とうとう喚き散らす叔父さんの声も何処か遠くで聞こえる。
《少し早いが誕生日おめでとう》
私が読み終わったと知ってるのか、バースデーカードはシュルシュルと小さくなっていく。
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作者名:四條暁 | 作成日時:2023年4月20日 0時