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軽井沢から帰って、数日が経った今日。
近くのデパートで日用品を買いに零さんと出掛けていた。
『やっぱ色々とフェアやってるから賑やかだなぁ〜。』
零「夏休みだからな。家族連れが多いんだろう、屋上でもヒーローショーをするみたいだ。」
『うっわ、なんか環先輩が好きそう。』
何かと純粋な彼なら、最前列でヒーローです応援してそうだ。
思わず苦笑いすると、零さんも「目に浮かぶな。」と笑いながら頷いた。
『けど、ホントにハロを風見さんにお任せして良かったの?』
ふと疑問を口にすれば零さんは「風見だと不安なのかい?」と首を傾げる。
『そうじゃなくて、風見さんもお休みじゃないのって事。もしアレだったら、私がハロと留守番してたのに。』
零「たまには良いじゃないか。いつも君はハロと遊んでるだろう?今日くらいは君を独占させてくれ。」
『うっ。』
零さんは子犬みたいに可愛く私の顔を覗き込み、意識して甘めに微笑んだ。
その表情をされては私が折れるしかないのを、彼は知ってる。
『はぁ〜…ズルい。』
普段ならあんまりハロに妬いたりしないのに、こうした不意にソレを
そんな事を言われては、もう顔がニヤけてしまう。
差し出された掌に右手を乗せ、不意打ちを喰らって火照った頬を冷ますように歩き出した。
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『……零さん零さん。』
3階の紳士服売り場の近く、秋用に零さんのネクタイを選らんでると何か視線の端で見慣れたモノを捉えてしまった。
そうしたら気になるのが人間と言うもんで、私は見つけてしまったのだ。
…腕組んで、眠りこけてる鏡夜先輩を。
見るからに私服だし、顔が良いしで兎に角周りの目を惹き付けてる。
…まぁ零さんもめちゃくちゃイケメンだから、女性の店員さんが話したそうにしてるのはスルーしてるけど。
零「…彼は何をしてるんだ?」
『さ、さぁ…?』
珍しく零さんがガチトーンで呟いたのに曖昧に返し、本気で困惑した。
あの鏡夜先輩がこんなに賑やかな場所でわざわざ眠りにくるとは思わないし、何より意味が分からない。
寝起きが悪いと環先輩も言ってたし、ここで声を掛けたら絶対に絡まれる。何より面倒だ。
『…放っておく?』
零「真琴、今の間で絶対本音と建前を逆にしただろう。」
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作者名:四條暁 | 作成日時:2021年8月9日 5時