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程よくアルコールが身体に回ってから少しして、私達の話題は思い出話から近況報告に変わった。

杜宮の仲間達とは数年前の結婚式以来会っておらず、ほぼ連絡ばかりで顔もろくに見ていなかった。

シオが知る限りでは特に困った事もないみたいで安心し、今度はこちらへ話題が振られる。


シ「で?今更また学生やってる気分はどうだ?」

『普通かな。ほぼノリで何とかやっていけてるし、いざって時は零さんが助けてくれるし。』


シオは「そうか」と一言返し、話はそこで途切れた。

唐突に訪れた静けさに、小さく聞こえたのは虫の鳴き声。

唯一私達を照らしてるのは満月で、何かと騒々しい都会とはかけ離れた落ち着いた場所と化す。

まぁ、別に居心地の悪い静寂(しじま)じゃないから苦痛は感じない。

私もシオも、必要以上に話を広げたりはせずに相手の話の聞き手に徹するのが(つね)だ。

杜宮でも楽しげに話してる仲間達から一歩引き、吾朗先生と一緒に聞き手をしてたものだ。


シ「……よ。」

『ん?なに?』


ふと、仲間達と肩を組んで終焉と戦ってた日々に思いを()せてるとシオが小さく何かを呟いた。


シ「…何はともあれ、今のお前が幸せそうで良かった。」


あの頃から何も変わらない、ぶっきらぼうだけど優しい目が私を見つめながら告げる。

その一言に私は言葉を詰まらせ、何度か水揚げされた魚みたいに口を開いては閉じて言葉を探す。

昔の、零さんにすら言うのを躊躇(ためら)うあの時を思い出してた今にはタイミングが良すぎた。


『…あの時さ。』


酔いも回り、親友に会った為の感傷か。

どちらでも構わなかったけど、あの時言えなかった言葉を今なら言える気がした。


『私の味方だって言ってくれて、ホントにありがとう。…私の事、信じてくれてありがとう。』


どんなに悪意に満ちた噂を聞いても、シオ達は笑い飛ばして真っ直ぐに私を見ていてくれた。

私が国防から出された任務で米花町へ行く時も、信じて送り出してくれた。


『ありが…へぶっ!?』

シ「なぁに感傷的になってんだよ、らしくもねぇな。」


ベチリ、シオが呆れたように私の額を叩いた。


シ「大体、テメェのダチ信じるのは当たり前だろうが。今更な事言うな。」

『っ〜〜!こンの、KY!!ここは胸熱な展開になるのを察しろ!!』

シ「知ってんだろ、俺はそう言うのは苦手なんだよ。」

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設定タグ:桜蘭高校ホスト部 , 名探偵コナン , 安室透/降谷零   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:四條暁 | 作成日時:2021年8月9日 5時

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