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ある意味では予想通りと言うか、零さんらしい答えだと思った。
零「正直、高幡君達が知る君を見てみたかったしもっと早くに出逢いたかったと思うよ。けど、きっと早く出逢っていてもすぐには今の関係になれなかったかもしれない。」
そう言われ、私は確かにそうだなと内心相づちを打った。
あの頃の私はとにかく【
それこそ、自分にだけ愛情を向けてくれると言う相手が現れれば身体すら考え無しに預けたかもしれない。
零「あぁ、誤解しないでくれ。」
無意識に黙り込んだ私が傷付いたと思った零さんは、そう区切りをつけてから髪を撫でてくれた。
零「それでもきっと僕は君を好きになる。出逢った時間なんて関係なく、僕は君のその真っ直ぐな所に惹かれてたよ。」
『…私も。』
ソッと彼に身体を委ね、小さく微笑んだ。
『私も絶対、零さんの事を好きになってる。仕事熱心な所も、優しい所も、頭が良くて強い所も。絶対好きになる。』
零「ありがとう。」
出逢う前の時間はどう
けど悲しい事も、辛かった事も、今隣に居る彼と結ばれる為の課題と思えば前を向けれる。
私はそう心の中で呟きながら、近付いてくる空色を見つめた。
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そしてその夜。
零さんが美鈴さんに話してくれて、入り口側のテラス席が用意された。
少ししてからシオは現れ、プチ同窓会が静かに開かれた。
シ「それにしても、相変わらずお前の旦那は余裕だな。」
『ん?何が?』
用意した酒を飲みつつ、不意にシオが呆れ交じりに呟いた。
シ「普通、自分の嫁さんを他の男に会わせるなんてそうそう出来ねぇよ。」
『…格好付けたいんだってさ。普段からカッコ良いのに。』
まぁ、それはあくまで私を信用してくれてるからだけど。
…けど、何となく私には分かった。
零さんは今、寝てないって事に。
『零さん、カッコいいし可愛いんだよね。』
度数の低い酒を傾けつつ、私はここには居ない零さんを想って微笑む。
シオはそんな私を呆れたように見て、小さく肩を竦める。
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作者名:四條暁 | 作成日時:2021年8月9日 5時