【早く大人になりたかった少女】 ページ32
とにかく私は今すぐに自立したかった。
誰の手も借りずに、たった独りで生きていきたかった。
「…あ、真琴ちゃん。おはよう。」
『…どうも。』
赤の他人である、この
私はそればかり考えている。
…いや、普通なら親とかが探し回ってるんだろうが私にはもう居ない。
ーー…2年前、とうとう唯一頼りにしてた親戚の家から追い出され宛もなく駅前を歩き回ってたら、この家の
「行く宛もないならウチに来なさい。」と言われるがまま、私は素直に着いて行った。
使えれるなら人だろうが何だろうが、もうどうでも良かったから。
でも何故か「この人は信用出来る。」と確信もあった。
まぁ、雨に濡れてどうでも良かったから理性的なこじつけが欲しかっただけなんだろう。
ーーけど。
「真琴ちゃん、おかわりあるからね?遠慮しないで?」
『…どうも。』
「真琴、これも食べなさい。育ち盛りが遠慮なんてするんじゃない。」
『…はい。』
待っていたのは覚悟してたソレとは真反対の光景だった。
暖かな食事、優しく気遣ってくれる“大人”、そして血の通ったちゃんとした“会話”。
まさに“普通”と言われる光景だった。
「今日は基礎的な体力作りじゃ。午後まで持たせる為にも、もっと食べなさい。」
「おじいちゃん、真琴ちゃんは女の子なんだからね?」
…そして、どうやらこの家は神社だけじゃなく武道にも強いらしい。
宗介氏は拾った次の日から、こうして私に稽古をつけてくれている。
元々身体を動かすのは好きだったし、拾い主の言葉には従うしかないので拒否はしなかった。
「真琴ちゃん、無理しなくても大丈夫だからね?休日くらい、お友達とも遊びたいでしょう?」
そして、拾われた私をよく気遣ってくれるのは宗介氏の孫娘であるトワさん。
彼女は私が現れても驚かず、むしろ「寒かったでしょう?お風呂入る?」が第一声だった。
普通、見ず知らずの子供を連れ帰った祖父を見たら「ソイツ誰!?」くらいは言っても良いと思う。
しかし、警戒するどころか次の朝には「真琴ちゃん。」と笑顔で話し掛けてくる始末。
ーー…この家の人間は平和ボケしてるのか?
そう思ってしまっても仕方ないだろう。
…そんなこんなで既に2年は経過した。
165人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
四條暁(プロフ) - 心結さん» 応援して頂きありがとうございます!これからも頑張ります(*`・ω・)ゞ (2021年5月15日 16時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
心結(プロフ) - お疲れ様です!今回も夢主と澪さんの会話などいろいろ楽し見ながら読んでます!これからも応援してるので頑張ってくださいね(*^^*) (2021年5月15日 15時) (レス) id: 59ce652171 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:四條暁 | 作成日時:2021年5月11日 17時