灯台もと暗し〜NOside〜 ページ44
服「仏像を独り占めしようとしたんは、やっぱり金の為か?」
西「そうや!けど私欲やない!
西条はそう続け、手を広げて背後の本堂をチラリと見やった。
西「この寺、
服「一つ聞きたい、竜円さんは利用しただけやな?」
服部の質問に西条はニヤリと嗤いながら「そうや」とだけ答える。
そして西条はこれまでの事件の真相を語った。
例の手紙は西条が山能寺に届け、竜円は西条の計画通り相談を持ち掛けた。
その時、西条は言った「名探偵の毛利小五郎に依頼したらどうだ」と。
小五郎が絵の謎を解き明かした時には竜円共々殺す手立てだった事も。
西「桜を殺ったんはあの男の手を借りんでも仏像を売る相手を見つけたからや。今はインターネットっちゅう便利なモンがあるさかい。さぁ、お喋りは終わりや!その水晶玉を渡してもらおうか!」
服「渡す代わりに和葉を離せ!!」
西「
服「何!?」
西「竜円からお前らが宝の在処を見つけたらしいっちゅう電話もろたんや。その前に水晶玉取ろ思て弟子らにこの女拐わせたんやけど、ちょうど良かった。」
西条はそう言い、和葉を拘束する両手の縄を強引に引っ張る。
縄が擦れて痛みを覚えた和葉は微かに顔を歪めた。
西「さぁ!仏像はどこや!」
服「この寺の中や!」
西「なんやと!?」
服「灯台もと暗しっちゅう事やな。」
狼狽える西条の反応に服部はニヤリと笑う。
西「う、嘘や!寺ン中はもう探した!」
服「嘘やない!!」
服部の真剣な声音に西条は少し考え、そして唐突に和葉の背中を突き飛ばした。
前のめりに和葉は数歩進み西条を睨んだが、西条は顎をしゃくって「行け」と暗に告げる。
和葉は石段を降り、服部の元へ駆けた。
刹那、西条が薄ら笑いを浮かべて腰に差した刀の鍔を親指で弾く。
服「ッ和葉!走れーー!!」
地面から木刀を抜き取り、服部が駆け出して和葉に迫った白刃を受け止める。
刀を振り払い、和葉の手を取って服部が中門へ走り出す。
しかし、門の前には般若の面を被った弟子達が刀を抜いて待ち構えている。
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年10月8日 23時