紐解かれる真相〜NOside〜 ページ42
〜NOside〜
陽が沈み、薄暗い山中に建てられた鞍馬山の玉龍寺にて。
広々とした境内には拘束された和葉と翁の面を被った男、そして般若の面を被った人物が数人。
石畳の端には
月明かりと共に境内を妖しく照らしている。
??「…遅いな。」
翁の面を被った男が呟くと和葉はキッと強気に睨み付ける。
和「罠やって分かっててそう簡単に来るワケないやん!!」
??「そうか?臆病風に吹かれたかもしれへんで?」
嘲りを含んだ男の声に和葉は頑として強い意思を宿して睨む。
その時、中門の外から階段を上ってくる人影の姿が。
和「っ平次!!」
それは野球帽を目深く被った服部であり、彼の手には木刀が握られている。
赤々と燃やされた篝火を横切り、服部は和葉達の手前で立ち止まって木刀を地面へ突き刺す。
服「テメェ!和葉に手ぇ出してねぇやろな!」
そう怒鳴る服部に和葉は一瞬違和感を覚えた。
しかしその違和感を無視し「だ、大丈夫やで!平次!」とだけ何とか返す。
服部は上着のポケットから巾着を取り出し、その中身の水晶玉を男に見せる。
服「アンタが欲しかったんは、
男が品定めするように身を乗り出し、服部はすぐに水晶玉を巾着にしまうと再びポケットへ収めた。
服「この水晶玉を取り戻す為にアンタは昨日この山で襲うたんや。失敗したみたいやけどな。」
挑発を込めて服部が不敵に笑う。
服「次にアンタは宝を独り占めする為に、先斗町のお茶屋で桜さんを殺しに掛かった。何故、祇園や宮川町やのうて先斗町を選んだか。それはあそこのお茶屋だけ裏に川が流れてるからや。」
服部の紡がれる言葉に和葉は「川…?」と呟く。
服「おそらく、首領がこのお茶屋によう通っとったとでも
ーーそう、あの時園子が聞いた水音はまさに凶器が入れられたペットボトルが川に落ちる音だったのだ。
服「その後でアンタは大阪へ戻るオレを待ち伏せして同じ短刀で殺そうとした。」
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年10月8日 23時