犯人は誰だ? ページ26
『…江戸川、服部。』
二人がデスクに回り込んで私の手元を覗き、数秒後には筆文字を見て驚きの声を上げた。
服「桜さんが【伊勢三郎】やったんか!……ん?なんや、コレ…。」
本のページの合間に紙切れが挟まれており、服部君が白手袋を嵌めた手でソレを抜き取った。
ーーそれは例の絵のコピーだ。
服「どう言うこっちゃ?桜さんがこの絵ぇ持ってたちゅう事は…。」
コ「あの手紙を山能寺に届けたのは桜さんか!だか、何の為に……?」
深まる謎を抱え、私達は再び茶店へ戻った。
…と言っても、私は体調不良で壁に凭れて話を聞くだけ。
通された客間には蘭達が待っていて、多分顔色が悪い私をひどく心配していた。
蘭「本当に大丈夫?別の部屋で休んでる?」
園「でも、事件が起きた時に一人なのも…。」
『大丈夫だよ、ありがと。』
取り敢えず、羽織を着込んで一息吐いた。
毛「なんだと!?桜さんが【伊勢三郎】!?」
新事実に毛利さんは目を白黒させ、唐突に殺害された【源氏蛍】のメンバーの名前を呟く。
【駿河次郎、伊勢三郎、備前平四郎、亀井六郎、片岡八郎】
毛「ま、まさか…。今度は【五】の付いてる俺じゃあ……!!」
『はぁ?』
やけに深刻そうに毛利さんは顔を青くし、江戸川が半笑いを浮かべた。
少し気になったが、これ以上話が脱線するのを阻止し私は挙手する。
『桜さんの自宅にあった絵がコピーだって事は、本物は桜さんが持ち歩いてて犯人が持ち去ったと思いません?』
服「成る程!犯人は桜さんが絵ぇをコピーしてたとは思わんかったんやな!」
私の発言に服部君は納得し、その隣に座る遠山さんが「それで、犯人は誰なん?」と小首を傾げた。
服「オレは竜円さんか西条さん、水尾さん、千賀鈴さんの誰かやと思う。」
自信たっぷりに服部君が言うと蘭達は「うっそ!」と目を丸くする。
蘭「でも誰も凶器なんて持ってなかったよ?」
園「アンタ達が抜け出した後、身体検査されたんだから。」
『まぁ、人殺した後にも律儀に凶器を持ってるヤツは居ないよ。隠蔽か廃棄…かな?』
蘭「でも、お店の中には見つからなかったよ?」
蘭の言葉に江戸川は「じゃあ、みそぎ川は?」と身を乗り出す。
コ「地下の廊下奥のガラス窓から捨てたんじゃない?」
すると江戸川の正面に座る園子が「だっしょ!?私もそう思ったのよ!」とバンッと机を叩いて前のめりになる。
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年10月8日 23時