憂い花 ページ21
コ「うっせぇよ!そんなんじゃねぇよ!」
途端に顔を真っ赤にして否定する江戸川。
そして不意に窓から下のベランダを優しい眼差しで見下ろす。
何となく私も身を乗り上げて窓枠に手を掛けて見ると、下のベランダでは蘭と園子に遠山さんが楽しそうに談笑していた。
服「なら御神楽さんは…。」
『んじゃ、ガールズトーク参戦してくるわ〜。』
少しズルいかもしれないが、服部君の声を遮って私は座敷を後にした。
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舞子さんに案内されてベランダへ向かうと蘭と園子が嬉しそうに歓迎してくれた。
…やっぱり遠山さんはジト目。
流石に何となく原因も理解し、私は遠山さんに微笑んだ。
『そんな警戒しなくても、私には大好きな婚約者が居るから。服部君は眼中なし。』
袴の裾を整えながら呟くと、遠山さんは少しキョトンとする。
和「こん…やくしゃ…?」
『そ。大体、服部君は友達だし。』
証拠として婚約指輪を見せると遠山さんは段々驚きへ表情を変えていく。
和「あ、アンタその歳でもう婚約者が居るん!?」
園「そうよ〜!Aの彼、本当にイケメンなんだからっ☆」
ニヤニヤ園子は笑い、蘭は苦笑する。
『二人も何でその事言わなかったの?私、危うくライバルにされかけたんだけど。』
園「だぁってぇ〜!面白そうだったんだもん!」
『…はぁ。』
相変わらず憎めない園子の笑顔を眺め、早々に文句を言うのを諦めた。
和「あ、あの。それも知らずに変な態度とってごめんなさい。」
『分かってもらえれば良いよ。改めてよろしく〜。』
和「…うん!よろしく!」
私達のやり取りを微笑ましげに蘭が見つめ、不意に上の座敷の方を見上げた。
つられて私も見上げたら、江戸川が慌てて引っ込ませる。
余程慌てたらしく、微かに「ゴンッ!」と大変鈍い音が聞こえた。
和「ん?蘭ちゃん、どうしたん?」
蘭「何でもないよ。」
すると今度は服部君が二階の窓から身を乗り出してこちらにピースサインを見せた。
『何やってんだ。』
和「平次のヤツ…!ホンッマ腹立つ!」
先ほどの可愛らしい笑顔は何処へやら、遠山さんは服部君をキッと睨み付ける。
蘭「…でも、和葉ちゃんが羨ましいよ。だって、逢いたい時に逢えるんだもん。」
ポツリ蘭が小さく呟いた。
和「蘭ちゃん…。」
…蘭からしたら、幼馴染みであり想い人に会えないのはツラいだろう。
唯一の会瀬は電話、それはもどかしいだろう。
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年10月8日 23時