私の大切な人 ページ11
思いもよらない私達の言葉に、服部君は何処か嬉しそうに身を乗り出した。
服「ほ、ホンマか!?誰か同じモン持っとるんか!?」
『イヤ…ん〜…と言うか私の場合“間接的に”見たのかも。』
ハッキリしない私の言葉に服部君は明らかにガックリと肩を落とす。
コ「そんで?“彼女”はこの事知ってんのかよ。」
服「彼女って……あぁ、和葉かいな。」
『え?服部君、彼女居るんだ。』
江戸川から水晶玉を受け取った服部君があからさまに動揺し、危うく初恋の想い出が昆布出汁まみれになる所に……。
服「バッ…!か、和葉は幼馴染みやっ!」
顔を赤くしてそう激しく反論し、服部君は動揺のあまりか熱々の豆腐を冷まさずガブリと口に放り込む。
途端に熱さで悶える服部君。
煽るように水を飲み干すと、不意に彼の視線が私の婚約指輪へと移る。
服「なんや、御神楽さんは結婚しとるんか。」
『ざんねーん。まだ婚約中でーす。』
ウインクしながら答え、笑みを浮かべてた。
服「相手の男はどんな奴なんや?」
不意に服部君が質問し、私は少し考えて思わず微笑む。
『優しくて尊敬出来る人、それから私を救ってくれた人……かな。』
大袈裟ではなく、零さんと出逢ってなければ今頃は国境を跨いだ誰かに弄ばれていたかもしれない。
もしくは“ヒーロー”ではなく、この世界に呪いや憎しみを振り撒く“化け物”になっていたかもしれない。
…零さんは私にとって、恩人であり大切な人だ。
『…世界一、大好きな人。』
降り注ぐ桜を眺めて微笑むと、零さんの優しい笑みが浮かんだ。
服「……ベタ惚れやな。」
『まぁね。私の婚約者、世界一カッコいいんだから。』
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年10月8日 23時